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2006年08月21日

美暦賞系08 まだら

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 種別 美しい暦文学賞応募作品 美暦賞08
 題名 『 まだら 』
 初出 ニフティサーブ/FJAMEA/18番会議室
    1995年11月11日02時55分
 注釈 行頭スペース+30W
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SUBJ:【美暦賞】 まだら

 Sibi-Tem V.4.1 (s+30)

 第8回美暦賞応募作品




            『 まだら 』


                        作:しびる





  ほんの些細なことだ 背後に根深い嫌悪感があるからこその対立
 これでも昔は子供であった 愛情や理想で暮らせる時期が過ぎ 残
 ったのは奸知と蹄念 そしてすべてを包み込む倦怠感 怠さ
  横腹に社名を記した営業車 午後に突然眩暈が襲った 市内の右
 肩を舐めまわすように山林が食い込む その山中に車を停めた
  人生にやるべきことがあるならば 午睡の分だけ長生きすればい
 い 眩暈は睡魔に変化し エンジンを止めて少し眠った 最後に見
 たのは緑の多い紅葉であった

  隠していた嘘が暴露される夢 夢だと知りつつも出口の見付から
 ない白い部屋 それを鳥瞰している自分 更に背後から眺める自分
 多重に交錯した視点は 否定されながら変化する
  キッカケは単調な呼び声 最初に認識されたのは やはり倦怠感
 であった 目蓋を開いても闇 どこまでが夢か
 『おおい 起きろよおおおお 怠けてるんじゃないぞおおお』
  女性の声 そして窓を叩く音 既に周囲は闇の世界 車を停めた
 のは午後3時頃だったか エンジンを止めているので時間がわから
 ない そして声は続く
 『起きてよおおお 困ってるんだからねえええ わあ』
  暗くてなにも判別できない とにかくエンジンを始動する それ
 に驚いたのか 女性は小さな叫び声を上げる
 『誰ですか 起こしていただいたのは あ 起こしていただいたの
 は嬉しいのですが』
 『いやいや礼には及びませんですよ 因果応報 違うな お互い様
 ですね こちらも助かりましたってところです』
  声は助手席の窓から 思い頭を瞬間に移動させる 上半身だけ捻
 って窓を開ける 車内灯に照らされたのは若い女性 20代前半か
 『ああ なにかお困りなのですか こんな時間に若い女性が よろ
 しければどうぞ 麓までなら送りますよ』
  話しながら違和感 山中と言っても麓までは5キロ足らず 小高
 い山頂には展望台 この場所は中間地点 ヒマラヤの遭難者でもな
 く 人混みの迷子でもないだろう 困った女性が佇むには最も不似
 合いな場所 安易に話し掛けたのは失敗か
 『それは嬉しいですね 非常に困っていたのですよ いやあ こん
 な所に置いてかれましてね 後少しで凍死するところでした』
 『まあ 乗りなさい 失礼でなければ理由を聞かせてもらえますか
 こんな場所で なんとも まあ構わないのですが』
  寝起きの混乱に会釈したが ドアを閉めたところで嫌悪感が増大
 する 見ず知らずの女性を乗せて 雰囲気を保ちながら夜道を走る
 こんなにストレスもないだろう
 『夜景を見たところまでは良かったんですがねえ 勝手にしろって
 降ろされまして 歩いていると車があるじゃないですか そんな感
 じでここに座っているんですよ ええ』
 『喧嘩ですか こんな所で女性を放りだすなんて 酷い話ですね』
  話しながら苦笑する 腹を立てて世界の果てに放置する 普段自
 分が空想している妄想だ イメージの中なら妻を殺害したこともあ
 る たいして酷い話だとも思わない
 『あははは まあこんなものですよ それよりも お仕事の最中で
 すか お休みのところを起こしちゃって 怒ってらっしゃいます』
 『いや怠けてたのですよ 最近疲れてましてね 午後に眠ったと思
 えばこの時間 職場放棄もいいところです』
  やや語気を強める 自分の状況を少し露呈させて躊躇させる そ
 の間合いに隔壁を構築する 故意に会話を中断させる大人の手段だ
 なにか下心を邪推されることを恐れての拒絶 この車内は本来独占
 されるべきスペースである
  少しの空白にも車は山道を下る 街灯すらない真黒の一本道 ヘ
 ッドライトにガードレールが流れる
 『こんなに道が続いてたんですね 登ってきたときは騒いでいたの
 で感じませんでしたが 歩いていれば朝ですね』
 『展望台は既に閉鎖されているでしょう 他の車は朝まで通らない
 と思いますよ それにこんな道では うわっ』
  一瞬の出来事であった 展望台が早々に閉鎖されるのは暴走族対
 策だ この女性のような訪問者達が諸悪の根源 少し皮肉を込めて
 返事をした直後 一瞬に視線が絡んだ
 『な なんですか いきなりどうしちゃったんです 大きな声を』
 『チクショウなんてこった いや失礼 どうもなにか動物を轢いて
 しまったようです 少し停めます 乗っていてください』
  直後にブレーキを踏んでいた 確かにあれは動物であった おそ
 らくは猫か狸の類 フロントバンパーへの衝撃と乗り越えた感触が
 生々しくハンドルに残留していた
  自分ひとりなら走り去ったかもしれない 動物への感情移入は更
 なる事故を誘発する 俗に言われる動物憑き ドライバーの鉄則
 『少し様子を見てきます 失礼』
  サイドブレーキを引いてドアを開ける 車の外は想像以上に気温
 が低い 身震いしたところでイライラする 彼女の対応は事故に気
 付いていなかった証しではないか 停車する義務はなかった
  車内灯に彼女の姿 その明りで車を調べる しかし車の前部にま
 では光が到達しない しゃがみ込み覗き込んだ途端 閃光が煌めく
 『ヘッドライトは点灯した方が あ 眩しかったですか』
 『いえ そうではないですが できればフォグランプの方を』
  閃光に視界が奪われる 過度の照度差はすべての輪郭を消滅させ
 る その懸念を簡単に踏みにじる 嫌悪感が一気に増大する
  疲労の原因は妻との軋轢 愛情は覚えていないほどの過去の遺物
 理解は嫌悪感の裏付け捜査でしかない 細部まで予測される機微は
 相手の思惑を土足で踏みにじる どんな行動も言動も殺意を催しこ
 そすれ 愛情には変換されない
  子供がいなければ 世界の果てに放置してやるものを そうもで
 きずに悶々と暮らす すべての感情は疲労に昇華する
 『どうですかあ やっぱりなにか轢いちゃいました 秋ですからね
 山の動物も活発ですよねえ』
 『いや 痕跡はないですね もしかすれば気のせいかもしれません
 そんな錯覚も 不思議なことではないでしょう』
  確かに痕跡はなかった かなりの衝撃は感じていたのに 車のど
 の部分にも破損はおろか血痕すら付着していない 面倒なので嘘を
 ついたが 自分でも錯覚のような気がしていた
 『あたしは感じませんでしたよ 道路の起伏じゃないですかあ』
  彼女は窓から叫んでいる それほどの興味もないのであろう 車
 が動物を轢き殺したところで 自分の運転でなければ他人事だ
  子供が猫を飼いたいと言いだしたときも 最初はまったくの他人
 事であった 子供は母親の所有物である なにをしようが妻の責任
 だ しかしマンションの管理は妻だけの責任ではない 泥沼の言い
 争いは些細な原因から始まり 最後には倦怠感が幕を引いた
  すべてを包む倦怠感は 今も脳裏に重くのしかかる
 『あははは 死体がなければ殺人事件じゃないですよ あ 不謹慎
 でしたね ごめんなさい 調子に乗っちゃって』
 『いや そのとおりですよ 現場を確認しましょう 気のせいなら
 安心して眠れます はは 殺人事件でなければいいのですが』
  長年染み付いた営業スマイル どんな精神状態でも即座に笑顔が
 固定される 奥歯に力を入れて振り返る イライラは極限に達して
 いた それでも無難に会釈する
  道路は急激なカーブだ 車は曲がり切ったところで停車している
 動物を轢いたのはここから見えない場所 すぐに答えたことを後悔
 する 見えなければなかったことでも済まされたのに
  日中の業務にあわせての薄着 その背中を寒風が吹きつける 確
 認したところでどうなるものか 彼女から見えないのなら事実を伝
 えることもない どちらにしても隠蔽される死体なら 寒気の分だ
 け無駄が発生する そしてその無駄は確かに存在していた
  ヘッドライトの残像が徐々に消滅する 車内から漏れる明りが背
 後に消える それに従い青い光が見えてくる 真黒だった空に月が
 浮かんでいた 月明かりにその物体が浮き上がる
  その無駄な物体は猫であった いや猫であったものだ 斑色の猫
 から黒い液体が飛散している おそらくは血液 それに内蔵が混じ
 る 四肢は踊っているように螺子曲がっていた 明らかに轢き殺さ
 れた姿 やはり確認するべきではなかった
 『やっぱり轢いたのですね』
 『わあ 驚かさないでくださいよ そうですね かわいそうなこと
 をしました 事故とは言え なんとも』
  ドアの開閉は聞き取れなかった しかし背後から女性の声 振り
 返る瞬間を逸して 死体を眺めて答える 隠しようのない事実が足
 元に展開していた
 『埋葬してやるべきでしょうか それとも』
 『散歩だと思ってたのです 車に乗って凄くはしゃいでいました』
  女性は構わずにつぶやく 瞬間僅かの違和感を感じた それでも
 振り返るタイミングではない 彼女はなにを話しているのか
 『夜になれば楽しい気分になります だから追い掛けたのに』
 『なにをいったい なんの話をして うわああああああああああ』
  彼女の声が泣き声に変化した あまりの異変に振り返った なに
 をこの場所で泣くことがあろうか これ以上の迷惑は困る そして
 目の前にいたのは踊る猫であった あまりの光景に叫び声を上げる
  人間の背丈ほどの猫 しかし猫の頭部は無残に潰れていた 踊っ
 ているように見えた腕も ひしゃげて不可能な方向に曲がる そし
 て腹部からは照り光る臓物がヌラヌラと蠢いていた
 『信頼していました 本当の家族だとおもっていました どんなこ
 とがあってもイッションニルノダトオモッテイタノニニイイイイ』
  身の毛が総立ち走った 理解不能 気が狂いそうに足がもつれる
 どこから人間の声がするのか 後半は既に人間ではなかった 月明
 かりに異常な光景 息が切れ動悸は限界を突破する 逃げることだ
 けが神経細胞に命令を下す それ以外は考えられなかった
  走り車に到着する ドアを開けてアクセルを踏む タイヤが軋む
 音にバックミラーを一瞥した その姿はカーブの中央に佇んでいた
  反射神経だけで山道を走り続ける いつまで経っても動悸は治ま
 らなかった 街の明りが見えた頃 噛み締めた唇から鮮血が流れて
 いることに気が付いた しかしまったく痛みは感じていなかった

  その夜のことは結局誰にも話さなかった 話したところで仕方が
 ないことは 既に大人なら知っていることである 寝惚けていたな
 らそれも良かろう わざわざ確認することもない
  しかしその夜以来 妻を放置する空想は辞めてしまった 嫌悪感
 は解決しようもないが 言い争うことにさえ倦怠感を感じるように
 なった 更に加速する倦怠感 もう対処方法は残されていないのだ
 ろう なにがあってもただ受け止める 結局猫も飼うことになった
 のも どうしようもない倦怠感の結果である

  猫には表情など存在しないが たまに飼い猫が笑っているように
 見えることがある 斑色だけでも反対すればよかった







             》 しびる 《
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(のりこ)>えーっと 美暦賞はこの回が最後で再開されてないです
      よね? ってウチが描いてないってことはそうなんでし
      ょうけど しかし立派なのは皆勤賞だということです
(しびる)>まあな やっぱメインで描いてるって自負もあったしさ
      なにより大賞を取らなきゃって部分も過分にあったし
(のりこ)>ウチはあんましコンペって参加しないですから こゆの
      はとても貴重な体験でしたよね って総括してますけど
(しびる)>まあな それよりもさ その前後に素で書き込んでるの
      とか読むの その作業がツライよな もうこれで終了だ
      からいいけど そもそもこの企画はさあ
(のりこ)>ご自分がおはじめになったのでは?
(しびる)>そーだけどさー まあいいや なんか発表して締めろ
(のりこ)>しかしその前に 今回のお題は『夜』でした でわでわ
      最終第8回は6名さん参加の2位です 2位かビリっこ
(しびる)>いろいろ仕方ないよなあ んー
posted by 篠原しびる at 03:06| シンガポール ☁| Comment(0) | TrackBack(1) | 美暦賞系 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

美暦賞系07 いもりのまどろみの

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 種別 美しい暦文学賞応募作品 美暦賞07
 題名 『 いもりのまどろみの 』
 初出 ニフティサーブ/FJAMEA/18番会議室
    1995年09月12日01時33分
 注釈 行頭スペース+30W
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SUBJ:【美暦賞】いもりのまどろみの

 Sibi Temperate V.4.1 (space+30words)

 第7回美暦賞応募作品




         『 いもりのまどろみの 』


                        作:しびる





  過度のエアコン使用は身体機能に有害な影響をもたらす 体温調
 節は自分の認識以上にデリケートな仕事である 外気温は平均で4
 0度以上は変動するが 体温は上下5度も変化すれば生命の危機だ
  実際のところ 季節の変化にあまり逆らわず 必要最小限の環境
 操作が心地良かったりするものだ 禁欲的に暮す 故意に忍耐する
 のが本当の贅沢であろう

 『妙にムラムラするのには それなりの理由があるんだぜ 下半身
 だけ温めるだろ 血行が良くなるんだな』
 『お風呂に入っても駄目なときがあるじゃない 設定に興奮してる
 だけじゃないの 剥けたわよ』
  他にいくらも部屋はあるが トイレと風呂 それに調理以外なら
 すべてがこの部屋で済んでしまう 俺なんか最初のトイレ以外はあ
 まりしないから ここだけで生きていける
 『ミカンな 指が黄色くなるまでミカン それほど美味くもないの
 に馬鹿みたいに食べる オレンジ色に秘密があるのだろうか』
 『ビタミンが足りなくなる季節だもん 本能じゃないの』
 『本能なあ そう言えば 本能で暮す我が息子はどこにいるんだ』
  目の前にいるのは妻 家族3人で後は息子だ 幼稚園の年長組で
 まだまだ理性よりも本能が勝る年齢だ
 『あなたみたいに無気力じゃないもの どこかで遊んでるんじゃな
 いかしら 仕事しなくていいの 締め切り過ぎてるんでしょ』
 『俺も本能でミカン食べるもん 仕事なんて本能の次な なんか心
 地良くって書く気がしないのは何故だろう』
  ふたり向かい合って座る 妻は俺の背後のテレビを眺める 俺の
 前には食べかけのミカンにタバコと灰皿 それに湯呑みと雑誌 ま
 こと心地良い 特に足元が気持ち良い
  平日の午後 8帖間の真ん中に座る 数カ月前までは卓袱台のあ
 った場所 今では卓袱台の呼び名が変化している いわく櫓炬燵
 『こいつがいけないんだな この炬燵って奴は 危険な電磁波で人
 体を冒しているんだ これで仕事すれば寿命が縮まる』
 『自分の部屋でやんなさいよ 暖房すれば下半身だけでも助かるじ
 ゃない あたしは保険金と下半身で充分よ はい 次のミカン』
  新聞社系のビジネス雑誌にコラムを書いている 気楽な在宅勤務
 それ以外にも散発的な仕事 足りない分は遺産で補充 死ぬまで生
 きていけるのは誰でも同じだな
 『エアコンって嫌いだな 暑ければ暑い 寒ければ寒い 死なない
 程度に抵抗するのが醍醐味だ 悪口を言ったが炬燵はいいぞ』
 『まあ好きなようにしてあげるけれど 掃除が大変なのよ 何故か
 亭主は毎日家にいるしね あははは 無職なのかしら』
  11月の末 数日前に初雪が降った 既に庭は銀世界 勢い出不
 精になるのも仕方がない それに加えて炬燵の快楽
 『働ける季節ってのは限られてるよな 春と秋の2回だけ 春にな
 るまで休載ということで だから無職で正解』
 『やっと涼しくなったのに 夏場は暑いって大騒ぎ 死なない程度
 の抵抗には程遠いんじゃないの 炬燵だって口実ね』
 『夏のことなんて忘れたな 今は冬と戦ってるんだ 男の戦う姿は
 このように壮絶だ 鬼気迫る戦いである ほら』
  そう言って肩まで炬燵布団にくるまる 毎日続く男の戦い これ
 に惚れなければ女とは言えないだろう
 『扇風機の前で同じ台詞を聞いたわよ スイカ食べてたあたしもあ
 なたのことは言えないけどね なんて変化のない生活』
 『いやいや 今年の冬は普段とは違うかもしれんぞ 実のところ夏
 の間に仕組んだことがあるんだ』
  肩までくるまったのが敗因か 炬燵の魔力に引き寄せられて そ
 のままゴロリと横になる 話しながら妻の太股に足を伸ばす
 『そのまま寝ちゃ駄目よ 夕食までは起きててね なにを仕組んだ
 の もしかして製薬会社の株でも買ったとか』
 『確かに冬場には強いけどな そうじゃなくてもっと画期的なこと
 ドラマチックなヒューマンなサスペンスな計画だな』
 『なにそれ 途端に嘘臭くなったわね もうミカンは食べないの』
  足の先で妻の太股をまさぐる それでも妻の口調は変化しないの
 だ 炬燵の中は公然の秘密地帯 治外法権である意味無法地帯だ
 『もういらない それよりも玄関の掃除でもした方がいいんじゃな
 いのか ふあああ』
 『寝ないでよ 食料調達の大役が残ってるんだから 玄関なら午前
 中に掃除したわよ それがスリルとサスペンスに関係してるの』
 『そうそう スリルはあんまり関係ないけどな この夏は暑かった
 から 我が息子の暴君振りも凄まじかったわけだ ふむ』
  終日在宅の父親 夏休みの間なら息子の暮らしと大差ない 昼間
 からブラブラしているのは 既に近所では馴れ合いだ
 『あの子に関係してるわけ 保母さんに手をつけたとかなら即離婚
 よ 言わなくてもわかってるだろうけどね それ以外は想像できな
 いわ 寝ちゃう前に説明してよね』
 『ふむ ふむふむ カエルにトカゲにトンボに もっといるぞ各種
 の魚類 それに足の長いバッタにカマキリに カタツムリはどうだ
 かわからんな ふあああ 投げたときに潰れたかもしれん』
  どうも意識が混沌とする なんという快楽だ 男の戦いはかくも
 壮絶な誘惑との対決 ミカンを喰ってテレビを眺める女には理解で
 きんだろう 妻の声が遠くから聞こえる
 『寝惚けてるのね イモリがサスペンスで玄関の掃除 あたしが買
 い物に行くから構わないわよ 夕食まで寝てなさい もう』
 『ふむ この夏はどれだけの生き物を救出したことか どれか1匹
 ぐらいは恩返しに来るぞ ふむふむ イモリ女とか ははは』
 『イモリは来ないんじゃないの そもそもあたし達が結婚したのは
 あたしがあなたにイモリの』

  その辺りまでは聞こえていたが 後はなんだかわからなくなって
 しまった 炬燵の誘惑は凄まじく 眠りの淵へ落ちてゆく
  下半身が温められたせいかはわからないが なんだか淫靡な夢を
 見ていた 濡れたような長い黒髪 微笑む美人の腹が赤かったこと
 だけが印象に残っていた





             》 しびる 《
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(のりこ)>はい 美暦賞参加作品の7本目です もうここいちばん
      は諦めましたか(笑) ただのウチの作品ですし
(しびる)>今回のお題は『夏の思い出』 直球は通用しないからか
      なり絡めてで 基本はほのぼの いくぜ底力 うらー
(のりこ)>特徴がないと弱いんじゃないですか まあいいですけど
      てか よくないんですけど で この第7回は4名さん
      参加のビリっこです ビリっこが定位置ですね
(しびる)>はあ いろいろ仕方ないよなあ
posted by 篠原しびる at 03:05| シンガポール ☁| Comment(0) | TrackBack(1) | 美暦賞系 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

美暦賞系06 おいしいじゃん

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 種別 美しい暦文学賞応募作品 美暦賞06
 題名 『 おいしいじゃん 』
 初出 ニフティサーブ/FJAMEA/18番会議室
    1995年07月13日01時44分
 注釈 行頭スペース+30W
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SUBJ:【美暦賞】おいしいじゃん

 Sibi Temperate V.4.1 (space+30words)

 第6回美暦賞応募作品




         『 おいしいじゃん 』


                        作:しびる





  熱帯雨林の夜は 思っていたよりも熱帯夜ではなかった 日中は
 あれ程の高温だったにも関わらず 日没と同時に涼しげな風が辺り
 に漂う なにかこう世界が転換するような予感だ
  実際 夜間の生態系は昼間のそれとは一変するわけだから あな
 がち予感も的外れではない

 『いつも思うんだが 険悪な状態になったときには 逆に問題が多
 いよな これ微調整な』
 『馬鹿 放り投げないでよ 馬鹿と心中は御免ね』
  夜間の移動はすこぶる危険だ 生体走査の結果では2メートル以
 上の生物は確認されなかったが 探検隊の鉄則 夜は大人しくして
 いろってのが常識だ
 『馬鹿って言うなよな ライセンス収得数は俺の方が2個多いんだ
 ぜ それで知能を測るわけじゃないが ほい これもだ』
 『投げるなって言ってるでしょ 連鎖反応で半径5キロのクレータ
 ーができるわよ だから馬鹿って言ってるのよ 馬鹿』
 『ロックしてあるからな 象が踏んでも大丈夫だ 仲良くしようぜ
 それも仕事だし わははははは』

  気温や気候 それに地殻変動 大気組成や有毒物質 事前の調査
 は無人の観測機でおこなえる その時点で必要なら大規模な適化作
 業も実施できる 有望な鉱物資源があるなら環境を無視することも
 しばしば 放置される惑星も数多い
  そんな中で 使用に供する段階までの手順が最も煩雑なのがリゾ
 ート系の惑星だ 反応弾で掃討してから採掘プラントを建設するわ
 けでもなく かと言ってそのまま居住できる惑星は少ない
  人工的に自然を残す作業は 新たに自然を構築する作業の数万倍
 の投資を必要とする 俺達の仕事はその初期段階

 『機動調査部は軍からの天下りが多いのよ 民間企業と言っても連
 邦軍と癒着なしでは仕事にならないでしょ これはリコールね』
 『よく研究してるよな 男女ペアなら仕事もはかどるってもんだぜ
 男同士で何カ月ってのは 考えるだけで鳥肌が立つ』
  作業するのはいつもキッチンユニット どの時代でも食卓っての
 は集いの場である テーブルの上には疑反応弾の弾頭
 『あちらさんは本職だもん 人間の性衝動だって作戦行動の一部な
 んでしょ 今日の夕食当番はあなたよ』

  彼女はこの任務の唯一のパートナー 軍の方式に従って夫婦また
 は交際中の男女が選抜された
  俺達が勤務するのは業界最大手のリゾート開発企業である 今回
 はアクリノール星系の第4惑星バリンの事前調査 この報告の如何
 によっては年間数千億の事業が発動する 重大な任務だ

 『リアクターの調子が悪いんだな こんなのを使うはめになったら
 大問題だが 夕食は少し趣向を変えたぞ』
 『創作料理なら食べないわよ 脱ユニット協会の会員だかなんだか
 知らないけれど 衛生面や栄養価を考えれば』
  俺は親睦団体である汎銀河脱キッチンユニット協会の会員だ 会
 の信条は手作り料理の復古にある 会員数は3千万人余り 軍や企
 業や政権を超越した団体なのだ ちなみにこの場合のユニットはユ
 ニットスペースではなくて合成器を指す
 『つれないなあ まあ食べてみろって 会の信条である現地調達が
 今回のメインテーマだな』
 『なら尚更ね あたしはキッチンユニットを使うから』
  弾頭をバラバラと床に落とす 片付いたテーブルに料理を並べる
 食材は昼間の調査の折に調達したものだ 無論だが検疫は施してあ
 るので人体には無害だ
 『極地でなくて良かったよな 赤道近辺は食材の宝庫 シェフとし
 ては嬉しい限りだ 軟体生物を基調にアレンジしてみた』
 『ひょっとしてコンペルを煮込んだの よくまああんな物を食べる
 気になるわね ホント馬鹿ねえ』
 『馬鹿って言うなよな こっちのはノウメンを地中海風に調理して
 みた オリーブオイルは純正品だぜ』
  コンペルは調査船の外壁に張りつく体長10センチほどの軟体生
 物だ バリンには数千種類のコンペルがいるが これの正式名称は
 知らない ノウメンは三生類動物ムーアの第二期の俗名だ ムーア
 は植物性から動物性へと変化する珍しい生物で 第二期の名称はラ
 テン語のミドルネームから由来しているらしい
  命名は連邦の学者がおこなっているので 詳しくは知らない
 『無害だからって美味しいとは限らないじゃない なにか基本的な
 ところで誤解してるんじゃないの まあ任務に忠実だとも言えるけ
 れど』
 『食えるって判明すれば 観光の目玉になるかもしれんからな 無
 下に殺戮するだけが手段じゃないだろう 食ってみよう』
  最初にコンペルの皿に手を延ばす 緑色と赤色の斑模様 なにか
 生理的に拒否反応を催すが グルメの基本は冒険にある
 『どう 色だけ見れば毒物の権化みたいだけど 美味しいなら付き
 合うわよ』
 『なんて言うのかな 二日酔いの朝にシャンプーでうがいをした感
 じか 好んで食べる奴もいるだろう 俺は駄目だな』
 『なにそれ 見たままの感想ね 残さず食べなきゃ協会から追放さ
 れるわよ そっちのも食べてみて』
  コンペルは不可だ 続いてノウメンの皿に手を延ばす ノウメン
 は植物と動物の中間生物だから 栄養満点 難点は鱗粉のように輝
 く紫色の外皮だけだ
 『なんだか少し後悔しているぞ しかし研究者の端くれとして食べ
 ないわけにもいかないよなあ』
 『嫌なら辞めれば 協会には黙っていてあげるわよ その代わり明
 日の運転手はあなたよ あら 食べるのね』
  ホークで突き刺してノウメンの欠片を口に放り込む オリーブオ
 イルの香りに続いてなにか不思議な風味が広がる 苦いと甘いの中
 間 鼻腔をくすぐる酸味 ドロリとした感触が舌に絡みつく 咀嚼
 するごとに変化する風味 なんと表現したものか
 『やっぱり駄目でしょ 運転手は決まりね』
 『これはまた なんと言ったものか 騙されたと思って食べてみろ
 こんなに旨いものは いやはや 食ったことがない なんだか凄い
 ぞ これは凄い』
  とても興奮してきた これが果たして食べ物か すべての味覚が
 混在し相互に干渉する様はまさに芸術品だ 香りも申し分なく 舌
 触りさえ感涙を誘う このような感覚が宇宙に実在するなんて
 『なに興奮してるのよ 悪夢のようなノウメンの密生を見たあとで
 しょ 思いださないの あたしの脳裏には焼きついてるわよ』
 『おうおうおう 丘一面のノウメン畑 天国のような眺めじゃない
 か これを食わないのは そうだ馬鹿だな』
 『ちゃんと検疫したんでしょうね 未知の物質じゃないかしら』

  無人探査機による調査は数年前に終了していた 生態系について
 もウィルスレベルまで調査されていた 実際のところ気密スーツな
 しで闊歩しているのだから レベル10での安全は保証されている
  俺達の任務は いわゆる住み心地の調査 リゾート用なら蚊の一
 匹でも問題となる 居住環境の最適化は星系破壊より困難だ
  そんなことはとにかく

 『悪いけれど調べるわよ これも仕事だからね』
 『わははは なんだって構うものか 仕事をするならすればいい』
  とても気分がいい 旨い食事はそれだけで快楽だ 催興奮性物質
 やその類のものではない 嬉しいから興奮している
 『成分表は問題ないわね 微生物の類でもなさそうだし どうして
 興奮してるのかしら 妙ね』
 『どうして食わんのだ こんなに旨いものを 俺が残さず食べてや
 ろう わははははは なんだか楽しいじゃないか』
  非常に楽しい 彼女はなにか喋っているが そんなことは構うも
 のか 食わないなら食ってやろう
 『辞めなさいよ 理由はわからないけど危険よ 自覚してないの』
 『なにが危険なものか こんなに旨いものをだな わははははは』
 『だからそれが変なのよ 危ないじゃない 弾頭が転がっているの
 がわからないの』
  そう言えば床には擬反応弾の弾頭が転がっている 眺めていると
 撃ちたくなってきた 輝く閃光 今の気分には相応しいではないか
 『よーし 派手に花火を打ち上げてやろう わはははは』
 『馬鹿 なに馬鹿なことを言ってるのよ 辞めなさいって』
  俺は銃を抱えて飛びだした 閃光を見れば彼女の気分も変わるだ
 ろう ノウメン畑の上で輝く閃光 味覚を表現するにはこれしか手
 段がない

  バリンの夜は非常に明るい 5個の月が上空に輝く 昼間降り注
 ぐ光量に比例して月の輝きも凄まじいのだ 地球上なら昼間ぐらい
 の明るさか
  俺はノウメン畑を見下ろしていた どこで付着したのかコンペル
 が額に張りつく しかしなんだって構うものか なんならコンペル
 にも見せてやろう 彼女が間もなく追いついた

 『はあはあ どうしてそんな速度で走れるのよ やっぱりなにかの
 物質ね お願いだから帰りましょう 精密検査をするからね』
 『なにを言うか これからが見物じゃないか わははははははは』
  眼下には無数のノウメンが一面に広がる 地面から伸びた蛇の頭
 のような姿 なんて素晴らしい眺めだろう
 『お願いだから帰りましょう ね』
 『この感覚を共感してもらいたいだけだな 輝く閃光 そよぐノウ
 メンの海 まるで天国のような眺めだぜ わおう』
 『あたしがお願いしてるのに それでも聞いてくれないの 失敗す
 れば辺り一帯が消えてなくなるのよ それでも』
 『わはははは ノウメン様がついてるじゃないか 死んだって極楽
 行きだぜ 構わない構わない わははははは』
  ノウメン様 なんて適確な表現だろう 彼女はどうして悲しむの
 か 快楽は生死を超越したものだ 俺は引き金に力を込めた
 『正気に戻ってよ もう お願いだから』
 『わはははははははは わはははははは は んぐ』
  擬反応弾を発射する寸前 彼女が俺に飛びついた 最後に覚えて
 いるのは 彼女の唇の感触だった 辺りを閃光が包み込む

  なんだか気分が悪かった まるで二日酔いのような気分 頭も痛
 いし吐き気もする
 『やっと起きたわね どこまで覚えてるのかしら』
 『どこまでってなんだよ 昨日は酒でも飲んだかな よく覚えてい
 ないのだが 何かあったのか』
 『まあ構わないけれどね ふん』
  昨日のことってのはなんだろう どうも記憶が曖昧だ 食事をし
 ていたところまでは覚えているのだが なにか恥ずかしいことでも
 したのか
 『ノウメン畑はクレーターになるし あなたは意識不明で動かない
 し 今日の運転手はあなたがやりなさい 当然ね』
 『ノウメン畑がどうしたのだ なんだか要領を得ないな それはと
 にかくなにか流動食をくれよ 昼食は作るからさ 朝食は頼むぜ』
  なにも食べる気がしない 食べないわけにもいかないので 食事
 は流動食がいいだろう
 『昼食もあたしが作るわよ どうしても料理がしたいなら』
  ベッドの脇に座った彼女が微笑む 調理担当は当番制だ それに
 彼女が作るのはキッチンユニットが作ったものだ 料理はなんたっ
 て手作りに限る
 『脱ユニット協会の会員としてはだな』
 『あはははん シャンプーでうがいをしてからね あははははは』

  なにを話しているのか知らないが 黙って彼女を抱き寄せた 唇
 を重ねながら なんだか重大なことを忘れているような気がしてい
 た まあなんだって構わないけれど
  今日も食材探しをするとしようか なんたって手料理だ ふむ







             》 しびる 《
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(のりこ)>さてさて美暦賞系も6本目です 今回のお題は『キス』
      内容はこれまたまんまのストレート勝負ですね
(しびる)>いや 当時得意科目だった宇宙ネタで勝負して キスで
      目覚める故事も絡めてみた どかんといくぞいってさ
(のりこ)>チカラ入ってますよねえ でもねえ
(しびる)>一気に場面を設定して これでもかってスピード上げて
      さ ラストはほのぼので締めてあるし
(のりこ)>でもですねえ まあいいや んじゃこの第6回は4名さ
      ん参加のビリっこです つまり4位です
(しびる)>いろいろ仕方ないよなあ とほほ うー
posted by 篠原しびる at 03:04| シンガポール ☁| Comment(0) | TrackBack(3) | 美暦賞系 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

美暦賞系05 泣いている人がいる

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 種別 美しい暦文学賞応募作品 美暦賞05
 題名 『 泣いている人がいる 』
 初出 ニフティサーブ/FJAMEA/18番会議室
    1995年05月30日00時02分
 注釈 行頭スペース+30W
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SUBJ:【美暦賞】 泣いている人がいる

 Sibi Temperate V.4.1 (space+30words)

 第5回美暦賞応募作品




         『 泣いている人がいる 』


                        作:しびる





  近所の定食屋から戻ると 午後一の仕事は分厚い封筒だった う
 んざりしながら開封すると 書類の奥から1枚のディスクが現れた
 早速端末にぶち込みタバコに火を点ける
  一瞬吐き気をもよおしたのは昼に食ったフライが原因だろう

  都市伝説 簡単に説明すれば噂 出所の判明しない流言飛語の類
 他愛のない冗談や政権を揺るがすデマゴーグ 多くは怪談や卑猥な
 儲け話 長期間蔓延するものもあれば一笑に附されるものも多い
  最初は企画のひとつでしかなかった 俺が所属する雑誌は季節発
 刊の情報誌 大抵は風俗関係がメインなのだが たまに色の変わっ
 た特集も組む 都市伝説を持ちだしたのは俺だった
  初期の企画では奇怪な噂の実地検証を 似非霊能力者を使って馬
 鹿騒ぎにまとめようとするものだった 今眺めているのはその資料
 である

 『あら珍しい 坂口さんが仕事してるなんて なーに?』
  眩暈がしそうな香水のかおり 職場唯一の女性がモニターを覗き
 込む
 『学生に調べさせたんだ マルチ商法の主犯探しのようなものだ』
 『ふーん 社会派記者に転向したのね まあ頑張ってね』
  画面に表示されているのは点と線 点の下には短文 これは噂の
 流布チャートなのだ 彼女は興味を持たなかったのだろう すぐに
 立ち去った

  暇な大学生を数十人集めて金を握らせた 周囲で広がっている噂
 の遡及調査のためだ 出発点のサンプル数は100 ジャンルは主
 に怪談物に絞り 出所の判明したものは他の調査に回させた
  噂は常に変化している 中継点に語彙力の豊富な者が混じればす
 ぐに変貌する 細々と繋がる流れが同一人物を介していることも多
 い 意味合いからすればその人物が源流だとも説明できるが 大抵
 の場合は優秀なアレンジャーであり 更に伝聞だったりするのが常
 なのだ
  画面を50人も遡れば 大半の噂は出所が判明していた これは
 意外だったのだが殆どの噂は雑誌が源流であった その一部には俺
 の関わった企画もある また映画の粗筋であったり漫画の描写であ
 ったりもした 酷いものになると古典落語の落ちだったりもしてい
 た これらが全体の90%を占めていた
  それらは検証するまでもないだろう 今回の企画の意図から外れ
 るのだ 俺の書いた嘘話なんて経費を使って調べるまでもない
  しかしそれ以外の10%は興味をそそられるものであった いわ
 ゆる怪談 10人ほどで実際の目撃証言に至っているものもある
 これなら使えるかもしれない 俺はその証言にマークを付けた 更
 に遡る
  100人を越えても継続している短文が4つ そのひとつは俺も
 聞いたことがある 有名な怪談話でTV媒体で取り上げられたこと
 もある それは結局出所が判明しないまま調査が中断していた
  残ったのは3つ 内ふたつは150人近くになって目撃証言に至
 っていた 前出のひとつを含めて3サンプルが企画合致に有力だろ
 う 問題は最後のひとつだ

  出発点のサンプルを眺めたとき 果たしてこれが怪談なのかと疑
 問に感じた あまりにも無意味でそれでいて具体的な単語で構成さ
 れていた いわく『家の中で泣いている人がいる』これが出発点
  噂文の構成は因果を含めるのが基本なのだ 何々をすればどうか
 なる どこどこでは何々をしなければならない たまに怪談的なも
 のでも 描写だけで完結しているものもある それにしても表現が
 奇怪だったり単語自体が不気味だったりするものだ それは噂文の
 宿命であり また流布の原動力になるのだ
  しかしこのサンプルは違っていた まるで小学生の作文のように
 ありきたりな表現 なにかしらの因果や教訓的なものも含んでいな
 い 何故これが噂として成立するのか
  ナンバー89と記された噂は20人ばかし遡っても変化していな
 かった あいかわらずの淡白な短文 しかし21人目で劇的な変化
 を見せた いわく『家の中でようちゃんが泣いている』
  備考を見ればこの人物から3名に対して噂が流布している たぶ
 ん『ようちゃん』の部分がこの人物から欠落したのだろう 伝聞文
 化では頻繁に発生する現象だ この人物から5人は同じ表現
  そして26人目で更なる変化 実際の流布では遡るほどに原表現
 に近くなるのだが このチャートを見れば妙な誤解が発生する 出
 発点が最終形態なのだ そして変化は微小なもの いわく『家の中
 でしょうちゃんが泣いている』あいかわらず意味不明
  それから数人毎に人名部分だけが変化していた そうちゃんやり
 ゅうちゃん まあちゃんやたあちゃん 変化の痕跡を追ってゆくう
 ちにある共通点が浮かんできた 第2音が伸びる それは60人目
 ではっきりとした
  いわく『家の中でかあちゃんが泣いている』なにかノスタルジッ
 クな表現になってきた これが怪談なのだろうか 調査担当者はな
 にに着目して追跡したのか そうは考えながらも俺自身が画面から
 目を離せなかった なにかある なぜ母親は泣いているのか
  それから数人は同じ表現 5人ほどでかあちゃんがママに変化し
 ている 見れば性別が変化しているのだ これから数人は女性が続
 いている 一般名詞は中継者の性別によって変化することがある
  そしてたいした変化を見せずに100人を越えた 変化は101
 人目で現れた いわく『遺影の中で母が泣いている』ここまでは怪
 談の体裁を保っていたのだろう 遺影は普通無表情か微笑んでいる
 ものだ それが泣いているのは異常な状態だ かなり原型に近くな
 ったのではないだろうか
  そして3人遡ったところで更なる変化 いわく『遺影の中で母が
 泣いていた』現在形が過去形に変化しているのだ あるいは過去完
 了形だろうか とにかく現在はそうではなくて ある時点までは母
 親は泣いていたのだ 限られた状況のみの発現は怪談の基本である

  それから20人ばかしは変化していない 数多くの中継者達はど
 んな考えで噂を伝えたのか 俺がこの短文を聞けばどうするだろう
 か 意味のない単語の羅列 まるで誰かへの伝言のような内容
  おそらくひとりが伝えたのは数人から数十人 ネズミ算なら全国
 へ流布するには数日で充分だろう しかし日付のデータではこの時
 点で1年と2カ月 一笑に附された枝を回避して この流れは旅し
 てきたのか 俺が聞けば誰かに伝えるか さていかほどか

  そして更に遡る 150人を越えたところで日付の表示は2年前
 いわく文頭に『この話は必ず誰かに伝えてください‥‥』後半部分
 は変化していない この152人目までは発信者の意思が通じてい
 たのだろう 本来ならば文頭が消滅したところで消え去る流れだっ
 たのだろう これ以降は偶然の産物か
  更に遡ったが同じ表現だった 人数は既に200名に達している
 なにがこれほどの威力を発揮したのか 遺影の中で泣く母親 誰が
 誰に宛てたメッセージなのだろう
  そして210人目で流れは途切れた 画面の表示はここまでであ
 った 以前は空白である そこには調査担当者の後記が記されてい
 た いわく『これ以前は中継者が死亡していました 近親者の証言
 ではK市の友人から聞いたそうです 以上』
  200名以上の人間が追跡できただけでも奇跡的なことであろう
 大半の噂は途中で追跡者の推論に置換されている それは俺も納得
 できることであるが 実際の発信者に行き当たっている事例は全体
 の1割強である ここまでの追跡だけでも学術的な価値があるほど
 だ しかし発信者を知りたい気持ちは更に強かった

  俺の出身はK市だ そのどこかから誰かに宛てたメッセージは流
 れ続けている 噂は拡散しながら流布してゆく この流れは210
 名の間を伝えられたが これ以外の枝はどこまで続いているのか
 形を変えながら内容すらも変貌しながら 誰かのメッセージは流布
 してゆく 気の遠くなるような時間と人間の間を 誰かの意思が広
 がってゆく
  誰が誰になんのために 遺影の中で泣く母親 なにか大切なメッ
 セージ なんのために いったい誰が

  俺はイスの上で体を伸ばした 他人の伝言を追跡するうちに 俺
 もなにか郷愁感に苛まれていた
 『あら 坂口さんたら まだ仕事してたの?』
 『いや 今終わったところだ』
  先程の彼女が再び現れた 返事をしながら俺は噂について考えて
 いた 彼女にも伝えよう 誰かの意思が誰かに伝わるまで
 『あのさ これは絶対誰かに伝えて欲しいのだが 遺影の中で母さ
 んが泣いているそうだ』
 『あはは それそれ あたしが話したかったのもそれなのよ』
 『なんだ聞いたことがあるのか それじゃ‥‥』
  俺が口篭もった隙に彼女が続ける
 『同じじゃないのよ 不思議なことに誰かさん宛かは決まっている
 の‥‥なんでも坂口さんに伝えるまで終わらないそうよ そう言え
 ば坂口さんも坂口さんよね ふーっしぎぃ あはははは』
  そう言いながら彼女は馬鹿笑いしていた

  なんだ俺宛のメッセージだったのか 今度の休みには墓参りでも
 するか 母さんが泣いているらしいからな




             》 しびる 《
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(のりこ)>で 美暦賞系の5本目です あとここいちばんの別位相
      ものですね でもないか なに系でしょこれは?
(しびる)>あのさ ひとの仕事をムリに分類するな
(のりこ)>それもそうですね ところで やたらチカラが入ってま
      すねえ なにかこう普段の作品にもない勢いが?
(しびる)>わかるかね?
(のりこ)>それはもう とんでもなく長いお付き合いですからして
(しびる)>やっぱしさ ここで一発どかんと大賞を狙ってゆこうと
      そう考えてもおかしくはないよな 物書きとしてさ
(のりこ)>普通の御意見ですね すごくよくわかります
(しびる)>お題は『伝言』 もう超ど真ん中のネタをすごく練り込
      んでどかんとかました意欲作だ どかんばりばり
(のりこ)>あー でも後半ちょっと息切れしましたか
(しびる)>わかるかね?
(のりこ)>それはもう とんでもなく長いお付き合いですからして
(しびる)>たまの1本じゃないしさ 毎日描いてる中で どかんば
      りばりでやると息切れするわな しおしおのぱー
(のりこ)>それも問題ですけど で この第5回は5名さん参加の
      3位です 結果はどかんじゃなくてしおしおのぱー
(しびる)>いろいろ仕方ないよなあ
posted by 篠原しびる at 03:03| シンガポール ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 美暦賞系 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

美暦賞系04 人生設計

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 種別 美しい暦文学賞応募作品 美暦賞04
 題名 『 人生設計 』
 初出 ニフティサーブ/FJAMEA/18番会議室
    1995年03月21日00時50分
 注釈 行頭スペース+30W
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SUBJ:【美暦賞】人生設計

 Sibi Temperate V.3.0 (space+30words)

 第4回美暦賞応募作品




           『 人生設計 』


                        作:しびる





  時空間航法が発明されて25年 開発当初の混乱は想像を絶する
 ものであったが 終身刑を含めた法整備の結果 すべての時空機能
 は国家機関の独占するものとなった
  天災や広域に渡る事件事故の警報 長期的な景気動向 その他公
 共の利益福祉に関する予想は まるで天気予報のように家庭端末に
 提供されていた 当然だが天気予報も完全に予測される なんたっ
 て実際に見てくるんだから正確なのだ
  時空間航法とは平たく説明すればタイムマシンだ 時間を移動で
 きる装置の総称である
  タイムマシンといっても古典SFに登場するような船の形ではな
 く 人口200万人の街をすっぽりと取り込んだ巨大な施設群なの
 だ 燃料施設 加速装置 各種の制御装置や作業員の居住エリア等
 時間を移動するには これだけのエネルギーを必要とする 当然だ
 が移動するのは人間である 機械設備は送りだすだけ だから未来
 にしか移動できない 同じ施設がなければ帰ってこれないのだ
  これだけが現在まで残存している唯一のタイムパラドクスである

 『あなた ご帰還早々にアレだけど 監理局から御手紙よん』
 『ああ? 休暇願が受理されたのかな』
  俺が家に帰ると女房が手紙を差しだす 俺の仕事は時空局の主任
 調査員 タイムマシンの搭乗者である
 『週に2日も休んでるのに あんまり休んじゃローンが払えないわ
  よん 頑張って働いてくれなきゃ』
 『何度説明しても理解できないようだな 週に30日も働いてるん
  だぞ ローンがなけりゃこんな仕事なんか辞めてやる』
 『なに言ってるのよ 一週間は7日間よ あはははは』
  女房は俺の肩を叩いて馬鹿笑いしている 美人だが賢い女とは言
 えないだろう
  タイムマシンの搭乗者と言えば 選りすぐりのエリートのように
 感じるだろうが 実際には高収入のみが保証されたダーティーワー
 クなのだ 理性のある人間なら誰も希望する類の仕事ではない 俺
 だってやりたくはない
  時間移動は国家機密レベルのシステムであるが 搭乗者はなにも
 しない 数年先の未来へ一定期間出張して 書類を受け取って帰還
 する 至って閑職 だらだらと年を食うだけの仕事である 高収入
 も当然であろう
 『それで御手紙はなーに? 休みが取れるんならバカンスね』
 『お前がそんなだからローンが減らな お!』
  俺は手紙を開いて絶句した 手紙の差出人は時空監理局 事務的
 に記された文章は簡単な説明で締められていた
 『なによ? どれどれ あららららら あなた死んじゃうの?』
 『か 簡単に言うなよな 来月の13日だ ううむ』
  時空関連の情報は公共の利益福祉に供するものだが 唯一個人レ
 ベルでのサービスが実施されている それがこの手紙だ 事前に受
 け取り拒否の手続きもできる しかし俺は手続きしていない
  曰く『死亡告知サービス』 未来の死亡届から逆算して 死亡確
 定時の30日前に送付される これだって立派な公共福祉であろう
 有意義な余生を送れるってものだ
 『ふーん どうやって死ぬの? 労災認定を受けられるような死に
  方かしら?』
 『緊迫感が足りないぞ! 俺は死ぬんだぞ!』
 『誰だって死ぬのよ なら少しでも意味のある死に方をしてほしい
  わん 残されるあたしのことも考えて』
 『 病死だな 風邪をこじらせて肺炎で絶命だ わかっているの
  にこじらせるってのも不思議だな 』
  死亡告知は拒否さえしなければ誰にだって送付される 死亡原因
 が判明していれば回避できると考えそうだが 死亡原因が明記され
 ているわけだから どんなにあがいても回避は不可能である 政府
 の巨大コンピューターが無限シュミレーションした結果なのだから
 俺は来月の13日に確実に死亡するのだろう
 『つまらない死に方ね まあ病死なら保険金だけでも受け取れるわ
  ね 告知以降は増額できないのよね?』
 『お前なぁ 』
  俺は頭を抱えてソファーに座り込んだ なにも考えられない 俺
 は30日後に死亡するのだ

  その夜 一週間ぶりに女房を抱いた 出張が終わればいつだって
 そうするのだが 今夜は違う なんたって死亡告知が届いたのだ
 『あなたって元気よね 仕事を始めてからは毎晩だもの とても病
  気で死ぬとは思えないわん』
 『毎晩って そうか お前にとっちゃ毎晩なんだな? 何度も説
  明するが俺は一週間ぶりに帰ってきたんだぜ? 理解できないと
  思うが 』
  女房は上気した顔で俺を見つめる 確かに美人だが俺の言葉を理
 解しているかは疑問が残る まさに亭主元気で留守が良い
 『なんだって構わないわん 死んじゃうのが仕方ないなら 夜のお
  勤めぐらいは頑張ってちょーだい うふふん』
 『前から疑問なんだが なんだって俺となんか結婚したんだ? お
  前くらいの美人なら男なんてヨリドリミドリ 』
 『うふふん 愛してるからに決まってるじゃない さてさてそうと
  決まれば第2ラウンドね? 頑張ってもらいましょう あはは』
  笑いながら女房は俺の上にのしかかる 金のためかSEXのため
 か この女なら両方かもしれない 俺は抵抗せずに身を任せる
  女房のするに任せて 俺はぼんやり考えていた そして女房に質
 問する
 『俺が30日後に死ぬのは構わないのか? うまくすれば保険金だ
  けじゃなくて労災保証も支払われる お前はそれで遊んで暮らせ
  るだろう あがいても仕方がないが それで納得できるのか?』
 『仕方がないじゃん んぐっ 納得するしかねぇ さてさて』
  女房は俺の上で腰を降り始める 俺は快感に浸りながら決意して
 いた 女房が納得しているのなら仕方がない いや好都合だろう
  方法がないわけではない 誰だって死ぬ それだけ押さえれば充
 分なのだ 俺は黙って目を閉じた

 『お帰りなさい 毎日のお勤めご苦労さまん』
  俺が家に帰ると女房が微笑む 彼女には10時間程の別れであっ
 たのだろう 毎日ご苦労って表現には語弊があるが 説明しても無
 駄である 女房には理解できない
 『ああ 毎日大変だ うむ』
  俺はカバンを手渡しネクタイを解く 俺にとっては久しぶりの我
 が家だ なんだか懐かしい
 『今日手続きしてきたぞ 特例で労災認定が受けられることにな
  った 俺の死後はかなりの金額が払われるだろう』
 『あら 嬉しいわん でも就職してからそんなに経ってないでしょ
  う? 金額も体したことはないんじゃないの?』
  女房は俺の首に抱きつく 早速催促しているのだろう 金とSE
 Xのことしか考えていないのだろうな 俺はため息をついて答える
 『それもぬかりない 先に風呂だ それからな 』
 『まあなんだって構わないわよん うふふん』
  俺は首に巻きつく女房を引きずって風呂へ向かった

  俺が死ねばかなりの金額が支払われる 就労期間も完全だ 俺は
 定年退職まで働くのだ 退職金だって支払われる
  女房は何日で気付くだろうな 俺は30日間で30年間を過ごす
 方法は簡単だ 仕事をすればいい それだけ 定年を越えるまで働
 き続ければいいのだ その間はこの時間では歳をとらない

  俺はほくそ笑んだ 人生設計は完璧なのだ 定年まで馬鹿みたい
 に働いて 気が向けば若い女房のところに帰ればいい 理想的な人
 生だ 問題なんてなにもない 完ぺきな人生だ ただ問題があると
 すれば 
  俺は定年退職後は風邪で死ぬんだったな それだって構わないぞ
 そんな先の話は後で考えればいいんだからな

  気が付くと女房が風呂場を覗いていた さてさてそれでは と
 久しぶりに女房を抱いてやるかな 




             》 しびる 《
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(のりこ)>さてさて美暦賞系の4本目です また別位相系のお話で
      すね ここいちばんで別位相って感じですか?(笑)
(しびる)>そりゃ ここいちばんだもん(笑) で 今回のお題は
      『かぜ』だわな なにがかぜなのかなあ んー
(のりこ)>ご自分がお描きになったのでしょうに? 知りませんよ
(しびる)>あのさあ なんかこの枠なんだけど 評価の低い昔の作
      品をこうやって世間様にさらすってのは すごくストレ
      スが溜まるよな やっててちっとも楽しくないや
(のりこ)>あー ご自分がおはじめになったのでしょうに?
(しびる)>ならのりこに相談なしに辞めちゃってもいいのかよ
(のりこ)>そうはいきません故 そこんとこ合議制でよろしくです
(しびる)>んじゃ聞け泣き言を くらえ怒濤の恨み節 うらー
(のりこ)>なんだかなあ(苦笑) ってことで第4回は6名さん参
      加の2位です 前回に比べれば健闘してます
(しびる)>いろいろ仕方ないよなあ
posted by 篠原しびる at 03:01| シンガポール ☁| Comment(1) | TrackBack(1) | 美暦賞系 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

美暦賞系03 交差点

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 種別 美しい暦文学賞応募作品 美暦賞03
 題名 『 交差点 』
 初出 ニフティサーブ/FJAMEA/18番会議室
    1995年02月02日00時04分
 注釈 行頭スペース+35W
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 第3回美暦賞応募作品

 Sibi Temperate V.2.2 (space+35words)


             『 交差点 』


                       作:しびる (JAE02166)




  初夏の夕暮れ 街灯が点灯する間際 すべてのものの輪郭が曖昧になる時間
 幹線道路から少し離れた交差点に一台の車が音もなく侵入した 目撃者は皆無
 監視システムも導入されていない交差点の出来事だった

  俺はその時刻 非番の身体を持て余し街を這回していた 趣味もなければ女
 もいない俺には 仕事のない時間は予定などなかったのだ
  その交差点に俺が通りかかったのは 事故の発生から数分後であった 現場
 の状況も生々しく ひしゃげた車からは黒煙が立ち上っていた 交差点の中央
 に設置されたハロゲン灯が流れるオイルを照り返していた 俺は考える前に事
 故車に駆け寄る 半ば開いたドアをこじ開けると 車内には誰もいなかった
  車は大破いている 事故当時の推定時速は120以上 とても生きていられ
 る衝撃ではない しかし搭乗者は失踪していた 現場検証も終り 一辺倒の捜
 査が実施されると 事故は迷宮入りしてしまった この交差点での同種の事故
 はこれで18件目である

  公安警察に所属する俺は今年の春から交通局に配属されていた 勤務態度が
 悪いわけではないが 上司との人間関係を円滑に構築するのが苦手なのだ 新
 システムにて管理される交通局は いわゆる閑職であったのだ 俺は左遷させ
 られたのかもしれない
  すべての交通手段には事故が付きまとう 交通手段は事故の確率の寡多によ
 ってランク付けされる 自動車による移動はその中でも最高の事故率である
 政府の対策委員会によって監視システムが導入されたのは15年前 すべての
 道路を機械的に監視することにより 交通事故を激減させる試みは ほぼ達成
 されたかのように報じられていた 俺達の仕事が事故処理と書類整理のみにな
 る日は間近のように感じられていた
  しかし実際には事故の調査は皆無とはならなかった 事故の発生の一部始終
 を記録している監視システムは小さな路地にまで設置されていた 中央政府か
 らの指示による設置 各行政地区による監視 普く監視の目は網羅しているは
 ずであったが やはり空白地帯は存在していた
  人家の疎らな山間部にまで いや逆に言えば過疎地区ほど濃密な予算が組ま
 れる 問題は雑多な市街地であった 各行政地区の狭間に空白が生まれるのだ
 報告書レベルでは網羅されている場所 事故はそんな所にほど多発する だが
 監視システムは作動しているのだ 事故の発生は上層部へ報告される前に闇に
 消える
  起ってはならない事故が年間に数千件発生する まさにトワイライトゾーン
 逢魔が時である 真剣に調査する者 事故を申告する者 誰も存在してはなら
 ない事故である 政府による監視システムは治安維持のために存在していた

  19件目の事故が発生した 現場は同じく件の交差点 時刻も同じく黄昏時
 目撃者はいなかった 事故の通報は発生の1時間後 俺達が到着したときには
 既に事故車は撤去されていた 事故車両の調査は俺達の仕事である しかし空
 白地帯に発生した事故は道路管理局によって処理される 疑問はあったのだが
 仕方のないことだと説明されていた
  やはり事故車の搭乗者は不明であった 数日して送付された報告書には簡単
 な言葉が記されていた つまり事故は発生していない 当然のことながら被害
 者加害者の存在しない事件は事件ではない 搭乗者が存在していないのだから
 事故は発生しなかったのだろう 俺は納得する以外に仕方がなかったのだ

  23件目の事故が発生した頃にも監視システムの導入はなされなかった 本
 来ならば第1級の警戒地点に指定されるべき場所である しかし書類上では既
 に設置されているのだ 今更の指定は誰かの怠慢を告発する結果となる
  交差点には監視システムが設置されているはずなのだ 設置されたのは13
 年前 それ以降事故の発生は報告されていない すこぶる安全な交差点なので
 ある

  俺には説明できない疑問が累積していった 誰が事故に逢おうと 誰が傷つ
 こうと そんなことは他人事であった 事故は個人の責任だ 加害者は当然の
 ことながら被害者だって個人的なことである ただ件の交差点の事故車に搭乗
 していた者達はどこに消えたのか 連れ去られたのなら納得しよう 政府の陰
 謀なら理解できないことではない そんな事件は世の中には幾らでも存在して
 いる しかし俺はこの目で見たのだ 18件目の事故には俺も現場にいた 状
 況からなら事故の発生の数分後だ 辺りには誰もいなかった 道路管理局も到
 着していなかった 俺が第1発見者であるはずだった
  俺がこじ開けたドアの中には誰もいなかった 運転していたはずの人間はそ
 の場所にはいなかった

  単調な作業が毎日繰り返された 監視システムは一定の間隔で事故の発生を
 告げる 俺達は機械の指示どおりに現場へ向う ケガ人は救急局の担当である
 し 現場の整理は道路管理局の担当なのだ 俺達の仕事は監視システムの記録
 を当事者の加入する保険会社に送付することだけである いたって閑職 単調
 な作業だ そんな毎日がただ過ぎていった
  その間も件の交差点での事故は発生し続けていた どれも決まって同時刻
 つまり黄昏時 目撃者は存在せず また搭乗者も存在していなかった
  俺は疑問を抱くことをやめていた 無駄な思考は所詮無駄な思考なのだ 俺
 がなにを考えようとも状況は変らない 疲れるだけだ 俺は強大な権力に立ち
 向かうタイプでなければ探偵でもない 不思議な事件は不思議なままでも差し
 支えない 俺の生活には影響を及ぼさない 給料をもらえればそれだけで良い

  俺は非番の身体を持て余していた いつもと同じく街を這回してマンション
 に帰る そのまま眠りに就くつもりであったが その日の俺は胸騒ぎがしてい
 た 無気力な普段の生活とは違って身体の奥から突き上げる衝動が存在してい
 た
  ベッドから起き上がった俺は部屋を後にした マンションの裏の駐車場から
 車を引きだす エンジンを始動させて俺は考えていた 低音を響かせて車は少
 し上昇する 反重力炉を3000まで上げて道路に飛びだす 目的地は件の交
 差点であった

  既に日は沈み 空は紅色から闇へと変化する間際であった 時刻は丁度この
 くらいだろう 俺は妙に楽しい気分であった なにかが起りそうな予感 単調
 な人生のアクセントになりそうな予感 気がつくと鼻歌を歌っていた
  混雑する街の中心部を抜けて市街地にでる 帰宅する人々の脇をすり抜ける
 巨大な工場の角を曲がり細い路地を抜ける あと1キロ程走れば隣の行政地区
 になろうかという場所に交差点は存在していた
  交差点の周囲は閑散としていた 少し脇に逸れると住宅が密集している し
 かし交差点の辺りだけは民家が存在していない 工場と倉庫の狭間に幹線道路
 と平行して道路は走る 誰も通行しない だが整備された交差点 まさに街の
 中の空白であった

  俺は道路を南へ走る 白い路面は闇に染まる 俺はライトを点けずに交差点
 を目指す 黙視できるギリギリの照度 アクセルを踏み一気に加速する 反重
 力炉は低くうなる 交差点に侵入したとき俺の視界には不可解な光景が映しだ
 された
  時間はゆっくりと流れた すべてがスローモーションで動いていた 俺の身
 体の反応も鈍かった ただ思考のみが加速していた
  目の前には女が立っていた 髪の長い女が微笑んでいた 交差点に侵入する
 までは女はいなかった 遅い時間の流れの中 女の微笑みと俺の思考は普段ど
 おりの時間の中にいた 女の表情が変化したとき 俺は女の後ろに立つ人影を
 確認した
  人影は瞬く間に増加した その数は数十人はいるだろうか どれもすべてケ
 ガをしていた いやケガなどと生易しいものではなかった 腕のない者や血を
 流す者 顔面が確認できない者もいた それらは皆 女の後ろから俺を見つめ
 ていた

  俺は咄嗟にブレキーを踏んだ 不快な加重が身体を襲う 車は傾きながら交
 差点を斜めに滑る 緊急緩衝装置が作動して 車は交差点の角に減り込む

  車が完全に停車したとき 俺は深い溜め息をついた 既に夕空は闇に変って
 いた 蹴り開けたドアから外にでた俺の頭上でハロゲン灯が瞬きをした 俺は
 どうやら生きているらしい 気がつくとこめかみから血が滴り落ちた 車は大
 破している 生きているのが不思議なくらいだ

  翌日 俺は公安警察を解雇された 理由は説明されたが納得のいくものでは
 なかった たぶん昨夜の事故が原因だろうが まあ 仕方のないことかもしれ
 ない 仕事を探さなくてはならないだろうと考えていた
  とにかくは休日だ 明日からは暫く休日が続く 仕事がないのだから当然の
 結果であろう





             》JAE02166 しびる《
+++++++++++++++++++++++++++++++
(のりこ)>はいさて美暦賞の3本目です いわゆる異界ものですか
(しびる)>そう分類するかね 今回のお題は『やすみ』か
(のりこ)>ラストで失職して休日が続く だから休みですか これ
      もまた強引ですねえ てかお題関係ないですし(苦笑)
(しびる)>深読みすればどうにでもなるだろうが そこんとこは読
      み手の方でどうにかするもんだ
(のりこ)>またそゆことを仰りますか まあいいですけど さて第
      3回は4名さん参加のダントツのビリです うひょー
(しびる)>いろいろ仕方ないよなあ とほほ
posted by 篠原しびる at 03:00| シンガポール ☁| Comment(0) | TrackBack(2) | 美暦賞系 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

美暦賞系02 奥歯の痛み

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 種別 美しい暦文学賞応募作品 美暦賞02
 題名 『 奥歯の痛み 』
 初出 ニフティサーブ/FJAMEA/18番会議室
    1994年11月28日23時01分
 注釈 行頭スペース+35W
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 第2回美暦賞応募作品

 Sibi Temperate V.2.2 (space+35words)


             『 奥歯の痛み 』


                         作:しびる (JAE02166)




  歯が痛くなった 右側の奥歯だ 鏡で見ると大きな虫歯になっている 今ま
 で気が付かなかったのが不思議な程だ あまりに痛むので歯医者に行くことに
 した 鎮痛剤は身体に合わないので すこぶる不本意であったが それは仕方
 のないことなのだ

  火曜日に有給休暇を取った 勤める工場は水曜日が定期納入日なので かな
 り先輩に嫌味を言われた でも仕方がない 何よりも歯の痛みは耐え難いのだ
 それに脂汗を流す私を見て 先輩も最後には苦笑いをした 誰だって経験のあ
 ることだ 納得してもらう他 方法はないだろう

  火曜日の午後 私は歯科医院の前に立っていた 念入りに歯を研いてきたし
 治療の邪魔にならないように 長い髪は後ろで束ねた 保険証は持っているし
 お金だって用意した 準備は万全である 私は息を吐き空を見上げる 雨の降
 りだしそうな空は あの日と同じだった

  意を決してドアを開ける 消毒液の匂いが鼻を衝く 私はこの匂いが嫌いだ
 消毒液の匂いは病院の廊下を連想させる 病院の廊下は私のすべてだ 私は自
 分が嫌いだ だから消毒液の匂いも嫌いなのだ
 『初診ですね カルテを製作します これに記入してください』
  受け付けの女性が用紙を手渡す 私の現在をこの用紙に記入しなければなら
 ない その行為にも嫌悪感を覚えた なるべく無機質に 何も考えないように
 私は自分を書き移す
  名前は伊集院なおこ 年齢は24歳 病歴は 精神科はこの治療に関係な
 いから記入しない 抗体検査はやったことがない これだけ この場所で私
 に求められているのはこれだけである 名前と年齢と病歴 これだけがこの場
 所での私なのだ 解読不明の倦怠感が私を襲う 消毒液の匂いに吐き気がする
 『それでは お呼びするまで待合室に 大丈夫ですよ』
  私の顔は青ざめていたのだろうか 労いの言葉に過去が蘇る 言い様のない
 嫌悪感だ 今にも逃げだしたくなる気分になる

  待合室に座っている 以前にも同じようなことがあった

  あれは私が13歳のときのことだ その時も私は同じような場所に座ってい
 た 目の前にはドアがあった 時折ドアが開かれる 忙しそうに女性達が行き
 来する 中の1人が優しく微笑む 大丈夫ですよ お母さんは大丈夫
 セリフまで同じだ 女性の声の暖かさとは対照的に その廊下は冷たかった
  私は何時間も独りで座っていた 消毒液の匂いが鼻について 吐き気がして
 いた

 『伊集院さん 奥の方へ』
  女性の声に連れ戻される 歯の痛みは増していくばかりである 私は通路を
 通り 狭い部屋にたどり着く ここで治療がおこなわれるのだ
 『横になって お待ち下さい』
  後ろには先程の女性が立っていた 私は言われるままに 治療台に横になる
 つけっぱなしのライトがまぶしい

  私は肩を叩かれた 私は病院の廊下にいた 目の前には初老の男性が微笑ん
 でいた 白衣を着た彼は私に向って話した
 『気を落さないように お母さんは 優しい顔で眠っておられる だが目
  覚めることはないだろう 臨終は15時38分 他に家族の方は お
  父さんは まだ到着されないのかね』
  私は床を見たまま首を横に振った 母の最期は この時間は 私だけのも
 のだった 頭の中が真っ白だった 涙も流れなかった
 『詳しい説明は後程 ああ 入ってくれたまえ』
  私が何の反応も示さなかったので 彼は言い放つと立ち去った 長い時間を
 かけて私は立ち上がった よろよろと歩き手術室のドアを開けた

  母は微笑んでいた いつも私にくれた笑顔だった 優しい顔は白かった ま
 るで漂白したように白かった しかし笑顔は記憶のままだった 何も変らず微
 笑んでいた ただ頬に張り付いたドス黒いアザを除いて 母は何も変らず微笑
 んでいた
  私は気を失った 永い間目覚めなかった 本当は目覚めていたけれど それ
 は私ではなかった 自分が誰だか分らなかった 知っていたけれど思い出した
 くなかった 何かを思い出す行為は すべて母の死に結び付けられた 母の死
 は考えられなかった だから私は目覚めなかった

  今の私は目覚めている すべてを納得して生活している そんな自分は嫌い
 だった 大人びてごまかしている自分に腹がたった
  私はすべてを覚えている どんな暴力にも母は微笑んでいた 父が怒り狂う
 たびに それ以上に微笑んでいた あの日私が家に帰ると 家の前には数台の
 車が停車していた 家には見知らぬ男達がいた 私はすぐに納得した 父の暴
 力に母は最後の限界を越えたのだ 私が病院に到着したときには 既にドアは
 閉じられていた 私は消毒液の匂いの中 ただ独り座っていた 雨の降る音が
 廊下まで聞こえていた

 『どこが痛むのですか 口を開けてもらえますか』
  私を覗き込む男性が 事務的に話しかける 私は黙って口を開く 説明しな
 くても 痛む部分に金属が当てられる
 『抜歯します 薬物に対するアレルギーは ないんですね』
  本当なら幾つかの種類の薬物は 私の体内には受け入れられない しかしそ
 んなことは構わなかった ただ吐き気を堪えるのが精一杯だった

  私は泣き叫んでいた 母はぐったりと横たわっていた 既に父の姿は見えな
 かった 嵐が去った部屋の中で私は泣いていた 起き上がった母は私に謝った
 なぜ母が謝るのか理解できなかった すべてはあの男が悪いのだ 私は憎かっ
 た 殺意さえ芽生えていた 母を解放したかった 私のせいで母は解放されな
 いのだと思っていた
  母を愛する自分と 母を救いたい自分が葛藤していた 私の存在が母を苦し
 めているのが辛かった 私は無力だった 何もできなかった

  それでも母は毎日微笑んでいた 私は2人で逃げようと提案した この考え
 は私に希望を与えた なにもかもがバラ色に展開するように考えていた しか
 し母は優しく微笑んだ そして首を横に振ったのだ 同じ事が毎日繰り返され
 た あの最後の日まで毎日繰り返されたのだ

 『麻酔をかけます 少し痛みますが長くは続きません』
  痛む歯の近くに僅かな感触があった 私の身体には麻酔は効かない それは
 知っていたが 話すのが面倒だった それでも歯の痛みは続いていた 感慨に
 浸りながらも痛みだけは襲ってきた

  今の自分の暮らしのような気がしていた 日々の暮らしは面倒だった 何を
 するのも空虚だった しかし心の痛み 母の死だけは消え去らなかった 何を
 していても付きまとっていた 忘れることはできなかった 今の自分は麻酔の
 効かない半病人だ

  窓から雨の降る音が聞こえてくる 雨は 雨の降る日は嫌いだ

 『テストします これは感じますか』
  麻酔を注入された辺りを 金属が撫でまわす 私には何も変らず感じられた
 が 返事をするのが面倒だった 男性は納得すると器具を取りだす このまま
 抜歯されるのだろう

  母は微笑んでいた 私はいつも尋ねていた 辛くないの 悲しくないの
 母は答えず微笑んでいた 優しい微笑みの中の 瞳の輝きが理解できなかった
 それは私への愛情だと思っていた 母はいつでも優しかった

  激痛が私を襲った むりやり抜かれる奥歯 私は身悶えした あまりの苦痛
 であった これまで感じたことのない痛みであった 頭の先から足の先まで
 言い様のない苦痛が走る 心臓が高鳴る 脂汗が吹き出す 歯が私から離別す
 る摩擦 鈍い感触が顎に伝わる 絶えられない苦痛であった 私は自分の太股
 に爪を立てる 肉に食い込む指の感触 すべては苦痛であった

  母の顔は苦痛に歪んでいた 度重なる暴力に身悶えしていた しかし微笑ん
 でいた 瞳は怪しく光っていた 私には理解できなかった 私は子供だった
 13歳の私には理解できなかった なにもかも表面的にしか見れなかった

  私の背筋に悪寒が走る 言い様のない感情が沸き上がる 押さえ難い欲望が
 痛みに交じる 私はニヤリと微笑んでいた
  今や存在していない奥歯の痕 とめどもなく流れる血液を舌でなめまわして
 私は理解していた すべての謎が氷解していた

  母の最期の表情 優しい笑顔の意味を 父の暴力は彼女の劣情を満たして
 いたのだ

  母は恍惚の表情で息絶えていたのである



  雨は止んでいるのだろうか なんだか空は晴れているような気がしていた




             》JAE02166 しびる《
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(のりこ)>さて第2回応募作品ですが まだシビテンの2の2です
      から スペース+35文字折り返しです あとこの頃多
      用してた半角点々4連発はスペースに置換しました
(しびる)>これ以上いじると原文ママとは言えないしな このとき
      のお題はたしか『そら』だわな
(のりこ)>気分の変化を天候の移り変わりになぞらえて ってとこ
      ろなんでしょうけど ちょい強引ですか(苦笑)
(しびる)>この頃はさ ってゆーか 美暦に関しては いかにお題
      の本質から離れることができるか つまり他の出品者と
      かぶらないか そればかり考えてたもんな
(のりこ)>それに関しては成功してますね このお題でマゾヒズム
      を描こうなんて誰も思いませんし でも強引ですね
(しびる)>みんな考えるからさ 普通にやってもあんましかぶらな
      いんだけどな でもベタでかぶると恥ずかしいじゃん?
(のりこ)>奇をてらえばエライってことでもないでしょうけどね
(しびる)>だわな いまならもっと素直に描くと思う
(のりこ)>あはは それはないでしょ で この第2回は5名さん
      参加で2位でした 上位3位が1点差です
(しびる)>仕方ないよなあ
posted by 篠原しびる at 02:59| シンガポール ☁| Comment(1) | TrackBack(2) | 美暦賞系 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

美暦賞系01 午前2時

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 種別 美しい暦文学賞応募作品 美暦賞01
 題名 『 午前2時 』
 初出 ニフティサーブ/FJAMEA/18番会議室
    1994年10月16日23時10分
 注釈 行頭スペース+38W
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(のりこ)>ってことで美暦賞関係をやりますけど で? 本文は掲
      載しないんですか? なんで?
(しびる)>いや さすがにこの頃はシビテンも初期バージョンだし
      38文字の改行をちまちま修正したり 怪しい変換をチ
      ェックするのもめんどうだし なによりも表現が稚拙す
      ぎて露悪趣味の範疇を超えるんだよな よってこの1本
      目は本文抜きの紹介とする ということでよろしく
(のりこ)>まあ いいですけども このお話はもでらーとシリーズ
      の初回も兼ねてますし? そうちゃん氏とまなみさんの
      若い頃のあれこれもこれを読まないとわかりづらいです
      し いい機会だから紹介するべきじゃないかと ってゆ
      ーよりも もでらーと一挙お蔵出しのときに発表してま
      せんでしたっけ? なら なにをいまさらですよ
(しびる)>ならもう発表しなくていいじゃん で 初回のお題は『
      ごちそう』 わりと普通の展開だわな
(のりこ)>ですね あまりにも汎用の利きそうなキャラだったので
      使い回したのがもでらーとシリーズですか
(しびる)>そゆことだわな
(のりこ)>で 結果ですけど この初回は3名さん参加の2位です
(しびる)>いろいろ仕方ないよなあ
posted by 篠原しびる at 02:58| シンガポール ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 美暦賞系 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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