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2006年01月31日

連作07 窮連作38 フェーブルカンパニー19

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 種別 連作系第07期 窮連作38
 題名 『 フェーブルカンパニー19 』
 初出 ニフティサーブ/FJAMEA/18番会議室
    1995年09月01日02時29分
 注釈 行頭スペース+30W
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(のりこ)>FC19です これまで連続だった時間軸がちょっと跳
      躍 あれから5日後って設定ですね 基本はママとひか
      るちゃんの会話 なんとものどかでいい感じです
(しびる)>さとみの設定がちょいぶれたままだったしな ここいら
      で仕切りなおしておこうかなって企画だったと思う
(のりこ)>もうちょっとお母さんっぽい想像でしたけど これでセ
      クシーママってイメージが定着しましたね
(しびる)>荒れた広野にパラソルと立てて 長い足を組んでサング
      ラスで端末仕事 ちょいずらして鼻眼鏡で娘に微笑む
(のりこ)>定番ですよね そこに巨大宇宙船が飛来すると
(しびる)>なるたけ悪趣味なサドム艦な バッチリだ
posted by 篠原しびる at 23:57| シンガポール ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 連作系 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

連作07 窮連作37 業務連絡

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 種別 連作系第07期 窮連作37
 題名 『 業務連絡 』
 初出 ニフティサーブ/FJAMEA/18番会議室
    1995年08月28日02時17分
 注釈 行頭スペース+30W
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SUBJ:【窮連作】37 業務連絡

 Sibi Temperate V.4.1 (space+30words)

 窮すれば通ず それ程でもないけれど 窮連作 #37(短編)




           『 業務連絡 』


                        作:しびる





  本社は確か銀行だ 漢字8文字とカタカナ5文字で構成された社
 名 その漢字部分の上から2文字は国内最大手の銀行と同じである
  だからと言って金融業務に従事しているわけではなくて グルー
 プ内の系列企業の子会社の下請け 詳しくは知らないが 人材派遣
 のような仕事だ カタカナ5文字はラテン語で任命や出張を意味す
 る単語らしい 良く知らない 普段の仕事には関係ないからだ
  始業時間にこの場所にいて 時間どおり拘束されるのだから こ
 れが仕事と言えば仕事なのだろう 入社して4年間 画面の人名を
 法則に従って並び換える 曖昧な部分も含まれるから機械的には処
 理できないのだろう
  しかしそれさえも慣れてしまえば機械的な作業と変わらない す
 こぶる単調で 誰もいない孤独な会社 巨大なオフィスビルの一室
  変化は入社5年目の春 突如起こった

 【認識ID98012ユウジタカハシ 4月1日を以てF職からE
 職へ昇格 新規配属は別資料を参照 管理報告を送信 以上】
  いつものように画面を眺める 親会社からの業務連絡が送信され
 ていた 内容は昇進と部下の配属 なんと画期的な事件であろう
  会社なのに誰もいない 社員名簿ならA職からF職まで総勢数十
 人の会社である どんな仕組なのか知りたくもないが親会社の別部
 門なのだろう それにしても部下の配属 すぐに資料を参照
 【職級F 本年度採用社員 認識ID02074ナオミノギワ】
 『遅れちゃってすみません ここの場所がわかんなくて ふう』
  勢いよくドアが開かれた 視線を移すと人影 この部屋で人間の
 声を聞くのは何年振りだろうか
 『配属を知ったのは今だからね 遅刻とは言えないだろう ノギワ
 さんだね よろしく E職のタカハシだよ』
 『気合いが入ってましたから 1時間前から出社してたんです で
 もこんなに部屋があるなんて知らなくて あノギワです えっと』
 『F職だね 僕の部下になる』
  部下になるのは若い女性だった 確かに気合いは入っているよう
 だ 上気した頬に額の汗 仁王立ちで拳を握っている
 『その なんて言うのか 私ってば緊張しちゃって わあああ!』
 『いきなり叫ばれても困るね いいから座りなよ 落ち着かないか
 らね あははは ほら深呼吸して』
  愉快な女の子だ 実働社員2名で緊張もないだろうに 膝に手を
 当てて深呼吸している たぶん体育会系だ
 『ふう すみません取り乱しちゃって 朝から変なんです』
 『別に構わないよ 気楽にしてくれればいいから 会社って言って
 もこれだけだからね 気楽なものさ』
 『他の方はいらっしゃらないんですか 聞いたところだと』
  おそらくは親会社を受験したのだろう 下請け関係は全員がそう
 なのだ よくわからないままに妙な会社に配属される 仕組なんか
 考えるだけ無駄だ 事実は事実 受け入れるしかない
 『この付近はみんな同じだよ 誰かが管理してるんだろうけど 交
 流なんてないからね 一応は別の会社だしさ』
 『そうなんですか このビルがまるまる会社だと思ってたんですよ
 説明を聞いても理解できなくて 私って馬鹿なのかなって思ってた
 んです 謎が少し解けました あはは』
 『9時5時で出社してくれればいいからね 仕事なんて簡単だから
 すぐに慣れる F職なら僕と同じ仕事だろうからね』
  話しながら違和感を覚える 確かに彼女は僕に管理される それ
 もこれから毎日だ それでは僕は誰に管理されているのだ
 『仕事ってなにをすればいいんでしょう 実のところ それもよく
 わからないんですよ 最大の謎だったりして えへ』
 『名前の入れ換え それもすこぶる簡単な 待って』
 【F職業務内容変更通知 社則588条3項適用 外商及び一般事
 務連絡要員 詳細は別資料参照】
  業務連絡が続くとは珍しい まるで会話の内容がモニターされて
 いるように 彼女の仕事の説明文 外商なんてなにをするのだ
 『営業関係が仕事になるらしいね 事務的な会社だったのが 変更
 になるのかもしれない 君の能力を事前に評価しているのかな』
 『能力ってなんでしょうか 私なんか別にそれ程の長所があるなん
 て思えませんよ まあ健康ですけど それぐらいです』
 『健康なら それがいちばんだろうさ さて無駄話はこれくらいに
 して そこのモニターを使ってくれたまえ なにをするべきか業務
 連絡が届いているだろう』
  更に違和感 モニターなんかいつの間に増設されたのだ 以前か
 ら設置されていたようにも感じる なにか記憶が曖昧だ
  彼女はモニター前に座り 口をへの字に結んで画面を眺めている
 よく見れば美人だ これは楽しい状況かもしれない
 『あのお タカハシさん こちらの端末じゃないみたいです どう
 もそちらを使うみたいで』
 『ふうん そんな連絡は受けてないけれどね そちらにはそんな命
 令なのか 確認してみよう』
  違和感が不安へと変化する なにか説明できない不安 思いだせ
 ないだけで 肝心な要因が欠落している感覚 気が付くと彼女が目
 前に迫っていた
 『授業ではこんなに個性的なタイプは使わなかったんです もっと
 無機質な端末でしたから どうも緊張しちゃって』
 『緊張することはないと思うけれど それよりも確認作業が先決だ
 と いやそれよりも』
  彼女の呼吸まで感じられるような そんな距離 彼女はぎこちな
 くボードを操作している 真剣な彼女の視線が真摯に注がれる
  これまで考えもしなかった感覚 毎日繰り返されていた単調な仕
 事 それを打破する予感 不安と期待が複雑に交差し 彼女を確認
 するたびに異常なまでに興奮が高まる
  ひょっとすれば彼女に恋でもしたか 初対面で構築される恋愛感
 情 そんな馬鹿なとは一笑できないだろう この興奮はその類のも
 のに近いのではないか なにか巨大な期待感 詳しくも知らないが
 おそらくは たぶん
 『なんか変な感覚ですね 普通にお話しして タカハシさんったら
 まるで普通の人なんですもの やっぱり緊張します えへへ』
  彼女の表情が素敵に輝く まるで子供のように微笑むのだ やは
 りこの感覚は恋だろう 慈しみの感情がにわかに増大する 彼女の
 ためならどんな指導もしてやろう まずは上司だ その辺りから始
 める必要がある
  なにか適切な指導をしようと考えた その思考を遮るように彼女
 は明るく微笑み そして話したのだ

 『コンピュータの人と普通に話せるなんて なんか凄いですよね』







             》 しびる 《
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(のりこ)>このお話 てかこの前後数本ですけど まーったく内容
      を覚えてなくて たぶんほとんど読み返したこともなか
      ったんじゃないでしょうか 読み始めても先の展開がま
      ったく思い返せませんでしたし こんなのありました?
(しびる)>怒鳴り付けてもいいのかねえ お前さ これはウチの作
      品で お前はウチの従業員だろうが バカちんが
(のりこ)>だってー 1000本以上もあるのを全部定期的に読み
      返すなんてムリですよ それに新鮮な一読者として読み
      返せるって利点もありますし? この作品なんか特に
(しびる)>コンピューターの人な これがオチならもうちょい説明
      を工夫するべきだったか ベタなところなら『人工知能
      の人』とか いっそ『ロボットの人』とか
(のりこ)>そうですね 原文を尊重するなら『コンピュータと』で
      もいいかもしれませんよ それで通じますし
(しびる)>それもいいかもな
posted by 篠原しびる at 23:56| シンガポール ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 連作系 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

連作07 窮連作36 翻意の後で

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 種別 連作系第07期 窮連作36
 題名 『 翻意の後で 』
 初出 ニフティサーブ/FJAMEA/18番会議室
    1995年08月28日02時17分
 注釈 行頭スペース+30W
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SUBJ:【窮連作】36 翻意の後で

 Sibi Temperate V.4.1 (space+30words)

 窮すれば通ず それ程でもないけれど 窮連作 #36(短編)




          『 翻意の後で 』


                        作:しびる





  他人を理解するのは不可能 自分自身を理解するのも困難 なら
 なにがわかっているのかと言えば なにもわからないのかもしれな
 い 状況に対する反応に関する予測 そんなモノを理解したところ
 で 理解してますよって言い張れるのか
  行動原理や思考順序 そうじゃなくてその基本になるモノ 私っ
 てなにと問いかけるのは あなたってなにと同じレベルなのか

 『なんだ 帰ってたのか 遅くなるんじゃなかったのかよ』
  部屋の真ん中で雑誌を広げていた 駅前のコンビニでミニ惣菜と
 一緒に買ったもの ごろんと横になり見上げる
 『なんか怠くって 風邪かもしんない 途中で抜けた』
 『ふうん お前が抜けりゃ仕方がないだろうに 別に急ぎじゃない
 だろうけど 風邪なら理由だな』
 『いいんだもん なんか面倒だし』
  友達に誘われてアルバイト 深夜のファミレスで条件は普通 今
 夜は面接に出掛けるはずだったのだ でも辞めた
 『仕事なんて柄じゃないよな 好きなように暮らせばいいだろ 俺
 は働くから 寝てればいいじゃん』
 『好きなようにの一部だったけど 電車の中で話を聞いてると急に
 怠くなったんだよね 下らなくて』
  夕方ぐらいには気力もあって いちばん高価なスーツを着込んで
 いた 制服らしいから普段着でいいのだけれど なにかそれなりの
 気概もあったのだ
 『風邪じゃないんだよな すぐに白ける悪い癖だ 社会生活は無理
 だろう 女に生んでもらったの 感謝しろよ』
 『なんでもいいや なんか食べるなら一緒に作ってよ レンチンな
 ら袋の中 男でも女でも空腹ね』
  スーツなんて皺でも構わない うつ伏せから仰向け 天井を眺め
 てクシャミ なにか怠いのは本当に風邪なのか
 『俺は食ってきたからいらねえや 風邪なら布団に入ってろよ 熱
 で怠いんじゃないのか』
 『そうかもしんないし そうじゃないかもしんないし そうじゃな
 かったのにそうなりつつあるのかもしんない』
  ゴロゴロしてると首筋を掴まれた そして腕 胸の谷間に埋まる
 頭部 身動きが取れない
 『脈がずれてるな 体調が悪いのは本当だろう 幾分精神的なとこ
 ろもありそうだがな 気紛れまではわからない』
 『ああ さんみゃくなんとかかあ 精神的で正解だと思う このま
 ま抱いてくれてたら治るよ』
 『御嬢様ってよりは ただの子供だな』
  方法論として甘えてみる 下らない喪失感になにを贖うか 凄く
 惨めな気分は錯覚だと結論を急ぐ そんな理由はない
 『子供で結構 無理しないの 昔から だからずっとこのまんま』
 『なんだよ 泣いてるわけ 無理しないなら泣くことないじゃん』
 『無理しないから泣くの』
  理由なんかなくてもいい 膝の上で涙が止まらない 止める気が
 ないからどんどん流れる 悲しいんじゃない悔しいんじゃない
 『こんなのも嫌いじゃないがな 途中で帰ってきたのが悔しいのか
 明日行けばいいじゃん 嫌なら辞めればいいしな』
 『もう 行かないもん なんにもしないで暮らすもん』
 『なんだかなあ 誰も強制してねえぜ いいけどな』
  握り拳で両目を擦る 膝を噛んでみる ぐりぐりと頭を動かして
 みる 優しく頭を撫でられるのも悪くない なにか話してみる
 『急にね 行きたくなくなったの』
 『ああ そうなんだろうな 構わねえよ 説明してくれなくても』
 『そうじゃなくてね 行かなくてもいいって考えると 嬉しくなっ
 たの そしたら怠くなったの でもね勝手に決められるのが嫌なの
 凄く怠くって帰ってきたの』
 『それなりの葛藤だろうさ 気楽だなんて笑わねえよ』
  どんどん泣いてみる 甘えた声で説明してみたり 納得顔を睨ん
 でみたりする 膝の上に頭を乗せたまま買ってきた袋を引き寄せる
 『食べさせて してくれないと餓死するまで寝てるよ』
 『すんげえワガママ しかしツボを押さえた攻撃 気が遠くなるよ
 うな快楽だな むしろペット感覚か』
  口を大きく開いて首を振る 空腹なのは確か
 『こうやって暮らすんだよ なんにもしないもん 口だけ開けて』
 『かわいそうにな 繊細さに気付かねえくらい馬鹿なら幸せだろう
 に 気が済むようにってのも無責任だな』
  口に差し込まれた指を強く噛む ぎゅっと目を閉じて力を込める
 そして優しく舐めまわす 舌の上で転がすと血の味がする
 『馬鹿だよ なんだかわからないもん だから 幸せなんだもん』
 『どうしてやろうかって思うな』
 『なんにもしてくれなくていいよ たぶん』
  起き上がって首の腕を回す 肩に顎を乗せて抱き締める 再び涙
 が止まらない なんだかよくわからない
 『嫌いだよ こんなのに調子を合わせてさ 優しい振りをして馬鹿
 みたいだもん 泣いてるのなんかほっとけばいいのに』
 『そうもいかんだろう 保護者だしな』
 『そんなことを言うから嫌いなんだよ すんごくだいっ嫌いだもん
 ふえええええん』

  強く抱き締められて肩を噛む 大声で泣きながら背中に爪を立て
 る 頭の中が真っ白になって 別になんでも構わない気分だった
  理解できなくて 理解する気もないけれど 理解されるのは そ
 れなりに悪い状態でもないらしい







             》 しびる 《
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(のりこ)>頭を撫でられるのはいいですね キライじゃないです
(しびる)>さっきテレビで誰かが話してたな 撫でてやろうか?
(のりこ)>いや カンベンしてください(照れ)
posted by 篠原しびる at 23:53| シンガポール ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 連作系 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

連作07 窮連作35 フェーブルカンパニー18

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 種別 連作系第07期 窮連作35
 題名 『 フェーブルカンパニー18 』
 初出 ニフティサーブ/FJAMEA/18番会議室
    1995年08月27日01時28分
 注釈 行頭スペース+30W
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(のりこ)>FC18です ようやく一段落ですね
(しびる)>だな ヘッダで公証人システムのネットについて詳細を
      説明してるだろ つまりこういうことな
(のりこ)>よーくわかりました が 既に人知の及ばなくなったシ
      ステム なんてものに委ねちゃってる連邦はどうなんで
      すかね その指示で星系を破壊したりするわけでしょ
(しびる)>違うって 現場では人間が意志を持つんだけど その承
      認に公証人システムを介するわけだろ 命令されて動く
      んじゃなくてさ 裏付けって言えば通じるかな
(のりこ)>でもシステムに決定権があるんでしょ 承認されなきゃ
      航法コンピュータも戦術システムも稼働しないわけです
      し それって命令されてるのと同じじゃないですか
(しびる)>そう思うのか だからのりこはダメなのな どんなこと
      も能動的にやってると思えなきゃ ただの労働者になっ
      ちまうぜ 指示や命令はたまたまいまやってることに合
      致してるだけで 連動してないと考えなきゃさ
(のりこ)>そんなふうに便利にはできてません故
posted by 篠原しびる at 23:49| シンガポール ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 連作系 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

連作07 窮連作34 テレビの前で夏休み

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 種別 連作系第07期 窮連作34
 題名 『 テレビの前で夏休み 』
 初出 ニフティサーブ/FJAMEA/18番会議室
    1995年08月25日02時43分
 注釈 行頭スペース+30W
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SUBJ:【窮連作】34 テレビの前で夏休み

 Sibi Temperate V.4.1 (space+30words)

 窮すれば通ず それ程でもないけれど 窮連作 #34(短編)




        『 テレビの前で夏休み 』


                        作:しびる





  大の月と小の月 8月は大の月だから31日まで 今年は8月最
 後の日曜は27日 夏休み中の日曜は全部で5個 その4個までが
 終わってしまったのだ
  夏休みなら毎日休みだ しかし家族のイベントとなるとそうもい
 かない 金銭的な問題もあるけれど 移動するならパパが不可欠だ
 そのパパの休日は夏休み中でも日曜だけ なんとも少ない
  市民プールや友達の家には遊びに行ける それは毎日の日課だけ
 ど 遠出する機会は最後の1回だけ それも雲行きが怪しい たぶ
 ん宿題を理由にして中止になるだろう
  そこで考えた 月曜日の午前中 テレビを見ていた

 『ママ 御中元って送っちゃったの? 夏休みに御中元だよね』
 『なによいきなり 7月中に全部送ったわよ 御中元と暑中見舞い
 は7月にするものなの』
  テレビに映る画面に見覚えがある 毎年同じアニメ 子供だって
 記憶力があるのだ 工夫しなきゃ見てやらない
 『おかしいじゃないかさ お婆ちゃんの所には先週持って行ったよ
 それに8月がいちばん暑いのにな』
 『お婆ちゃんの家は旧暦でやるのよ それに8月は残暑見舞いね』
  家にいるのはあたしとママだけ 夏休みも最後の方だから こん
 な生活も慣れてしまった まったく夏休みだというのに パパは毎
 日仕事だし お姉ちゃんは毎日学校だ
 『そう言えば先生から暑中お見舞いの葉書が来てたけど 返事は残
 暑お見舞いなんだなあ 公文の先生からも来てたかな』
 『今から書いても遅くないわよ それはとにかく』
  ママはワープロで文章を書いていた そこまで話してあたしを見
 つめる 鼻の上に乗っけた眼鏡越しだ
 『どうしてさいかちゃんは 御中元の心配をするわけ? 正直に話
 せば怒らないわよ どんな秘密?』
 『さいかが喋ると悪い事だと思うんだよね お姉ちゃんにはそんな
 ふうじゃないのにさ さいかは貰いっ子かもしれない』
 『あははははは さいかちゃんは貰いっ子じゃなくて 拾ったのよ
 中村屋さんの角のところで段ボールに入ってたのよ にゃあにゃあ
 鳴くからね パパと一緒に育てようかって あはははは』
  娘に向かってなんて酷い話だろう この話は隣りの猫の話だ あ
 たしがママに話したのに ママはすぐに自分で笑う
 『悪い悪い 別に差別してるんじゃないのね お姉ちゃんは高校生
 だもん 自分のことは自分で片付けられるでしょ?』
 『さいかだって片付けられるよ お姉ちゃんの部屋よりは綺麗だも
 ん あんなに散らかさないよ さいかはね パパよりも綺麗だ』
 『うーん 綺麗が云々はその通りね お姉ちゃんはパパそっくりだ
 からねえ うふふん さいかちゃんはママ似なの 安心でしょ』
  お姉ちゃんは高校に入ってから なんか音楽が趣味らしい ギタ
 ーとか変な機械で部屋が占領されている パパは基本的に片付けな
 い人だ それはみんなが知っている
 『ママ似なら話が早いや さいかは確かに小学生だけど 自分のこ
 とを自分でなら お姉ちゃんやパパよりも凄いってことだよね?』
 『まあ 理屈ならそうなるわね それと御中元が関係するの? 誰
 かに御中元を送りたいとか それなら協力するわよ』
 『そうじゃないんだな さいかが話してるのは自立の話だよ どこ
 か贈ってない御中元があるなら さいかが持って行ってあげよう』
  ウチが送る御中元は 実のところ宛先を良く知っているのだ 毎
 年いつも5個 1個はお婆ちゃんの所で終わってる 後の4個の内
 3個は遠くなのだ 問題は残る1個
 『初めてのお使いって年じゃないでしょうに それのどこが自立な
 のか不明だけどね さいかちゃんがそう言うなら でも送っちゃっ
 たから必要はないわ』
 『ならさ 御中元じゃなくてもいいよ とにかくさいかは この夏
 に自立の訓練をしようと思う 駄目かな?』
 『ふん 最初からわかってたんだけどねえ つまりさいかちゃんは
 ひとりだけで おじさんのところに遊びに行きたいと そう言いた
 いわけだわね』
  ママは意地悪そうに唇を歪めている あの表情はお姉ちゃんにそ
 っくりだ なにか悪い事じゃなくて変なことを考えてるときの表情
 なのだ やっぱり母娘だなあと思う あたしはどうなんだろう
 『わかってるんなら いいでしょ? 迷惑にならないように お米
 も持っていくからさ この前ママと行ったときに おばさんがまた
 いらっしゃいって話してたもん』
 『まあね ママは別に構わないと思うわよ ママのお兄さんなわけ
 だし あそこは子供がないから 問題はパパね』
  お米の部分は冗談のつもりだったんだけど ママが否定しないな
 ら 案外世間の常識なのかもしれない お米は持って行くことにし
 よう おかずは食べさせてもらえるだろうしね
 『パパとおじさんは喧嘩してるの? そんなふうには見えないけど
 な ママが説得してよ』
 『さいかちゃんが自分で話しなさい パパはママよりも娘の方を愛
 してるのよね きーっ 嫉妬の炎メラメラ あはははははは』
 『それもそんなふうには見えないけどな まあいいや さいかが自
 分で話してみるよ』

  ママは再びワープロに向かう そう言えばママも毎日仕事なんだ
 な パパも家で仕事をすればいいのに お姉ちゃんだって夏休みぐ
 らい家で勉強すればいいんだ
  そんでもってあたしは出掛けたりして みんなが家にいるのなら
 にゃあにゃあウルサイあたしは 家にいない方がいいかもしれない
  それからお昼ご飯までテレビを見て おじさんのことを思いだし
 たのは水曜日だった 夏休みってのはだらけちゃっていかんな





             》 しびる 《
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(のりこ)>こうして読み返してみると キーワードがばらばら散り
      ばめてありますね これ全部がネタ振りですか?
(しびる)>決まってるじゃん どれだけ苦労して設定したか
(のりこ)>まずお婆ちゃんは 例の病院に入院することになるあの
      お婆ちゃんですね 確執がどうとかの それとおじさん
      というのは例の酒造会社の あとみんなが家にいてあた
      しだけが出掛けて云々は つまり独立の前振りですか
(しびる)>そんなところだな さいかはとにかく家から除外する方
      向で決めてたし そのために必要なものはいまのうちに
      用意しておこうという企画だったと思う
(のりこ)>ただ読むと なんかのんきな作品なんですけどね
(しびる)>牧歌にどれだけ意味を詰め込むか それがおもしろいん
      じゃん 伯父夫婦は子供がいなくて 父親と伯父の仲が
      よくなくて そこから引いて祖母との確執とか 自立は
      仕事を持つことだってのは母親の暮らしを見てたからだ
      とか なにげない会話にどんどこ詰め込むのな
(のりこ)>何話先くらいまで予定してるわけですか この時点で
(しびる)>ぼやーっとなら 作中時間で20年くらいかな
(のりこ)>なら さいかちゃんの病気くらいまでですか
(しびる)>それくらいだな 実際にはちょっと違ってくるけど
posted by 篠原しびる at 23:47| シンガポール ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 連作系 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

連作07 窮連作33 フェーブルカンパニー17

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 種別 連作系第07期 窮連作33
 題名 『 フェーブルカンパニー17 』
 初出 ニフティサーブ/FJAMEA/18番会議室
    1995年08月24日02時11分
 注釈 行頭スペース+30W
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(のりこ)>FC17です イルボダヤ編は今回でラストでしたっけ
(しびる)>あーっと どうだっけな いや次回のFC18が最終だ
      な 連続時間軸はそこまで 続きは数日後だな
(のりこ)>ヘッダの肥大がすごいですね 20行以上使って一気に
      地球文化圏の説明をしちゃってますし どうですかこれ
(しびる)>とにかく 次回くらいで一段落させる予定だったからさ
      説明しちゃうことは片しておかないと 次回がいつにな
      るやらって感じだったのな
(のりこ)>ここまで作り込むなら地球編で外伝という方法もアリだ
      ったんじゃないですか ママさんの若かりし頃とか
(しびる)>前にも話したけど それじゃちょい弱いからさ ここで
      粗方説明しちゃって その線が消えたってとこだな
(のりこ)>地球編潰しのヘッダですか なるほど んじゃこの時点
      で外伝のプロットはできてたわけですか
(しびる)>まあな てか 艦隊に潜り込んだ頃に この線で外伝だ
      なとは思ってた なら主軸はラマルクに決定じゃん
(のりこ)>その辺は外伝でやりましょう
posted by 篠原しびる at 23:44| シンガポール ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 連作系 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

連作07 窮連作32 ぼなんざぐらむ め

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 種別 連作系第07期 窮連作32
 題名 『 ぼなんざぐらむ め 』
 初出 ニフティサーブ/FJAMEA/18番会議室
    1995年08月22日02時12分
 注釈 行頭スペース+30W
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(しびる)>個人的にパスってわけじゃないけど 一般公開するには
      不適切な表現が含まれてるから あえてパス扱いとする
(のりこ)>あー わけわかんないです 大丈夫ですかこの作品?
(しびる)>うん 大丈夫じゃなくなったらどんな感じかなと なん
      かそゆのってキッカケがあると思うのな いやキッカケ
      じゃなくて最後のタガかな それを呪文に置き換えて描
      写するとこんなふうになったのな ホントはもう既に大
      丈夫じゃなくなってるんだけど 瞬間にそうなるんじゃ
      なくて 自分でタガを外していくってこともあろうかと
      まるで謎解きみたいに深みにはまっていく自分を演出し
      て あれだ 肺ガンになってるのにタバコを吸い始めて
      結局肺ガンになりましたって思い込むような 予定調和
      ってゆーとヘンかも知れないけど そんな感じかな
(のりこ)>あー まったく理解できません それと『め』?
(しびる)>わかんないかな 最初から頭の中は大丈夫じゃなくなっ
      てるのな もうホントはひらがなの羅列だけになってる
      のに で クロスワードパズルの最後の1文字が『め』
      これをはめ込んで崩壊の完結ってこと
(のりこ)>いくら聞いても理解できません
posted by 篠原しびる at 23:40| シンガポール ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 連作系 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

連作07 窮連作31 フェーブルカンパニー16

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 種別 連作系第07期 窮連作31
 題名 『 フェーブルカンパニー16 』
 初出 ニフティサーブ/FJAMEA/18番会議室
    1995年08月21日00時53分
 注釈 行頭スペース+30W
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(のりこ)>FC16です シリーズ中でも最も人気投票で順位の高
      かったFC16ですが ひかるちゃんが冴えてますねえ
(しびる)>ひかるの覚醒がイルボダヤ編の要だしな ホントはここ
      をもうちょっと拡げるべきだったんだろうけど まあい
      いや そこを抑えるのが妙味ってもんだし
(のりこ)>まあ読後感は文章量に比例するわけじゃないですし
(しびる)>いいこと言うねえ
posted by 篠原しびる at 23:39| シンガポール ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 連作系 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

連作07 窮連作30 ぼなんざぐらむ 2

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 種別 連作系第07期 窮連作30
 題名 『 ぼなんざぐらむ 2 』
 初出 ニフティサーブ/FJAMEA/18番会議室
    1995年08月19日02時44分
 注釈 行頭スペース+30W
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SUBJ:【窮連作】30 ぼなんざぐらむ 2

 Sibi Temperate V.4.1 (space+30words)

 窮すれば通ず それ程でもないけれど 窮連作 #30(短編)




         『 ぼなんざぐらむ 2 』


                        作:しびる





  すべての建造物が影を失う瞬間 真夏の正午 頭上の太陽は低く
 あまたの陽炎を生成しながら地上を焦がす 焼けたアスファルトは
 大気を燃やし 上昇する気温には際限がないかのように感じられた
  事実 その街の灼熱は二度と消え去ることはなかったのだ

  行き交う人々からは表情が失われ いつからか蔓延した倦怠感は
 街を覆い尽くし更に拡大する 円熟した文化に情熱は存在せず 硬
 直した社会に輝きは存在しない 新生児の出生率が減少を初めて1
 0年間が過ぎた夏 その街にふたりは出現した

  街の中心部を走る幹線道路 それに交差する鉄道 その交差点を
 中心にして街は拡大する 人口凡そ30万 昼間の人口は100万
 を越える 典型的な地方都市 ありふれた街並み
  街の名称を冠した中央駅 その周囲には高層建築が林立する 最
 も往来の雑多な歩行者道路に母娘は佇む
  ふたりの関係が如何様であっても 行き交う人々の中に推測する
 者はいない 途絶えることのない雑踏の中では 他人の事情に想い
 を巡らせる隙はない 自分の進路を定め淀むことなく歩行を続ける
 まるで景色の一部のように 往来から少し位置をずらし流れを眺め
 る ふたりは一瞥すれば母娘であった
  切り揃えた黒髪に黒い帽子を深く被り 覗く顔には瞳が見えない
 色白な顔に真っ赤なルージュ 少し微笑み歪む唇 白く細い首は白
 いシャツへと続き 下半身はタイトな黒いパンツ 蜃気楼のような
 モノトーンは 街の景色へと溶け込んでいた
  その隣りに直立する少女 同じ姿 同じ微笑み 女性へと伸ばさ
 れた右手は 生命を感じさせない白色
  少女の口が僅かに開いた
 『推定値以上だ 急ぎ閉じる必要がある』
 『どうかしらね これだけの規模 調査の必要はあるわね』
  母娘にしては緊張した会話 女性の胸にDKNYの文字が揺れる
 『慎重だな 駅を中心にして約10キロ 正常値は微々たるもの』
 『目測しても数人は正常値よ ざっと見積もっても500人はいる
 わ 殺すわけにもいかないでしょう』
  女性は静かに反論する 主導権は少女の方か 少女は失笑した
 『黙殺される数値だ』
  誰ひとり不審に思う者はいなかった 元から存在していなかった
 ように ふたりの姿は音もなく消えた

  低く唸るような機械音 何処からか漂う腐敗臭 血管のように張
 り巡らされた下水道は 複雑に絡み合いながら街の地下を支配する
 末端は家庭 他方は処理場か海洋へと繋がる 水の輪廻を断ち切っ
 て 巨大な淀みが存在していた
  ふたりはその場所にいた 足元には汚水が広がる
 『最適な環境だ 有害な光線は遮られ 行動範囲は無限大』
 『来るわ 約20秒後 第3レベルの振幅ね』
  女性の声がブロックの壁に反響する 周囲の気温が僅かに上昇を
 始める 真黒の淀みに緑色の発光体
  少女はゆっくりと両手を交差させる 右手を少し開き 左手をそ
 れにあてがう 形成されたのは不可思議な印 微妙に蠢く指に発光
 体が反応する
 『構わんだろう このまま封じ込める 離脱の準備をしておけ』
 『根脈が汚染されているもの この街は 既に死んでいるに等しい
 わね 鬼門の反応が薄い そちらから離脱しましょう』
  少女の結ぶ印が様々に変化する それに呼応するように発光体も
 明滅する 汚水の表面が泡立つ 膨れ上がった水面が触手のように
 周囲をまさぐる 少女の微笑みが嘲笑へと変化する
 『意思を持つまでに成長しているのか 確かに 興味深いな』
 『油断すると汚染されるわ 完全体なら手に負える代物じゃない』
 『笑止 焦獄を召喚してやろう 永劫の焦界に陥るが良い』
  更に気温が上昇する 汚水の表面が蒸発を始める 沸騰する汚水
 の中央で触手が人の姿を隈どる 何者かの意思が具現化しているの
 か 猛烈な速度で触手が伸ばされる
  振り落とされた少女の帽子 その下には黒髪が結わえられていた
 冷淡に微笑む少女 両手で結ばれた印 少女が低くつぶやくのと同
 時に 周囲の温度が一気に上昇した
 『終わりだ 消し去るほどの価値もない 行くぞ』
 『崩壊するわ 規模は推測値で半径30キロ 街が消えるわね』
  目映い閃光が周囲を包み込む 先程と同じようにふたりは消えた
 音もなく 幾許かの波動も残さず ふたりは消え去った

  静かに拡大する球体 地上にまで露出した光の球は すべてを飲
 み込んで巨大に膨れ上がる 音もなく まるで真夏の太陽が降臨し
 たかのように 灼熱の球体は地上を焼き尽くし拡大する
  誰ひとり逃れることのできない地獄 叫び声を上げる暇も与えず
 静かに そして瞬時に拡大する半球 無限とも思われる灼熱の中で
 すべてのものは溶解し蒸発する 阿鼻叫喚とは無縁の末期

  ふたりは異なる次元から光景を眺めていた 少女が静かに印を解
 く それに反応したのか 球体は再び収縮する
  すべてを飲み込んだ球体は 焦土に立つ少女の右手の中で消滅し
 た 僅かに輝き 最後にはなにも残されなかった
 『両刃の剣だな 数十万の焦獄か』
 『感傷に浸る場合じゃないでしょうね 急ぎましょう』
  焦土の上を歩き始めた 手を繋ぐ姿は母娘と見間違うように す
 べてを失った大地は彼方まで広がっていた
  真夏の太陽は少し傾き ふたりの影は地面に重なる 一陣の風が
 吹き去ったとき 既にふたりの姿は跡形もなく消えていた






             》 しびる 《
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(のりこ)>んー 怪物退治ですか
(しびる)>いや そういうのを表面に現代社会を揶揄したふうに見
      せる作品のパロディのつもりだったんだけど
(のりこ)>なにがなにやらですね それと この作品のタイトルに
      ぼなんざぐらむと付けた意味がわかりませんし?
(しびる)>ふむ そういう整合性に執着するってことのパロディな
      んだけどな まあいいや うまくいかなかったし
(のりこ)>そんなに深く考えてのことだったんですか
(しびる)>いいかげんにはやってないよ いつでも
posted by 篠原しびる at 22:50| シンガポール ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 連作系 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

連作07 窮連作29 ぼなんざぐらむ

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 種別 連作系第07期 窮連作29
 題名 『 ぼなんざぐらむ 』
 初出 ニフティサーブ/FJAMEA/18番会議室
    1995年08月17日03時47分
 注釈 行頭スペース+30W
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SUBJ:【窮連作】29 ぼなんざぐらむ

 Sibi Temperate V.4.1 (space+30words)

 窮すれば通ず それ程でもないけれど 窮連作 #29(短編)




         『 ぼなんざぐらむ 』


                        作:しびる





  夜の海岸に座る 潮が満ちて変化した海岸線 昼間の海はもっと
 遠くにあったのに 星明かりに輝く波頭 低く唸るのが海鳴りだろ
 うか 彼方に光る漁火を見ながら べたつく髪を気にしていた
  足音なんか聞こえなかったのに 不意の声に驚いた

 『闇夜の錦 スタイルだけの感傷なら ふむ 昼間にやりなよ』
 『失礼ね そんなのじゃないわよ 観光の亜種 つまり見てるだけ
 ね くどきに来たのなら帰りなさい』
  誰かに見せる姿じゃない 最低でも声を掛けられた瞬間は なに
 も考えてはいなかったのだ
 『つれないね 俺も観光なわけ 酔い醒ましでも構わないけれど』
 『どこ行っても宴会でしょ あなた達の馬鹿騒ぎには付き合ってら
 れないのよね みんな死んじゃったの』
 『そうだな 全員が轟沈 いや自沈かな 俺は班長だからね 宴会
 の後の海水浴には敏感なんだな 君で最後だ』
  こんな不気味な海で誰が泳いだりするものか 歩くだけの理性が
 残っているのなら この光景を見て躊躇しない者はいない
  圧倒的な暗黒 物体化した闇の平原
 『門限は設定してなかったでしょ 最後なら いいじゃない』
 『それもそうだな 自殺する動機もないから 別に構わないよ 飲
 んでないなら尚結構』
 『決めつけちゃうのね 泥酔しても普通に会話できる体質かもしれ
 ないじゃない それにね 動機が露呈しないから自殺するのよ』
  月もなく街灯もない ただ星の輝きだけが辺りを浮かび上がらせ
 る 輪郭だけの海岸 輪郭だけの人影 どうやってあたしを見付け
 たのか 海岸は広く 潮騒だけに支配された空間
 『怪談話が尽きないのも ここにいれば理解できるな 夜の海は闇
 に同化するようだ 意思の弱い者は 早々に退散するのが正解か』
 『ご明察 海水の塩分濃度は体液と同じ 波は鼓動 闇は心の暗部
 ぼやぼやしてると帰れなくなるわよ』
 『それも困るな 君は既に取り込まれたのかな 助けを求めるなら
 122号室に電話を入れてもらえばいいから』
  声の反響が掻き消される妙な感覚 彼方の漁火が微妙に移動して
 いる 突風に髪が揺れる 生臭い潮風
 『日常とは対極にあるはずなのに 実際の海は生命の気配に溢れて
 いるのよね 感覚の尺度って なにが基準かしら』
 『働いている人間もいるだろう あの漁火だって職業だな なにも
 霊体が浮遊しているわけじゃない 君の基準は誤ったイメージじゃ
 ないのかな 理由のない違和感は やはり錯覚なんだろう』
  どちらが真理か 偶然か見透かされているのか それとも誰氏も
 同じ感慨に至るのか
 『言うじゃない 怪談を持ちだしたのは自分なのに』
 『そうもいかないな 深夜の海に女性がひとり 意味が皆無でも声
 を掛けないのは罪悪じゃないか 諭すのも義務だね』
 『恐怖感と恋愛感情の置換ね 陳腐な方法論も面白いじゃない で
 も そんな次元じゃないのは理解できるでしょ』
  遠近感が曖昧になる 星空と海の境界線 会話と潮騒の境界線
 すべてが闇に統一される 区別と同化の境界線
 『すぐに明るくなるさ 数時間すれば夜明けだからね つまり 夜
 明け前が最も暗い 君の感傷も数時間の命だ』
 『感傷じゃないのよ でもね この気分は朝になっても消えないの
 ここに座って表面化してるだけ 明るくなっても影はできるわ』
 『錯覚だよ 光の有無は存在の有無じゃない なにかを注視するか
 ら影が生まれる それに気付いていないのは君の方だね』
  この広大な影はどうだろう なにも考えられないのは 考えるま
 でもなく注視したから そして闇
 『どちらでも構わないわ このまま波に飲まれるのも 泣き叫んで
 助けを呼ぶのも 少し同化してるのかもね』
 『どちらも無理だね できるならやっているさ 君はこの場所に座
 るしかない だから探しに来たわけだね』
 『確かに 海水浴はしないでしょうね 恐怖心しか沸いてこないも
 の 助けは呼べるかな いてくれるだけでいいのに』
  誰かと話していなければ 自分と闇の境界線が曖昧になる 闇の
 中で白痴になるか 切り取られたあたしの輪郭
 『正直だね ただ眺めていたんじゃなかったのかい』
 『どうかしら 依然とただ眺めているのかもしれないわよ 暑いか
 ら 涼んでいるだけかもしれないし 闇には意味がないんでしょ』
 『怪談話でもしようじゃないか 闇に意味を持たせて怖がるのもい
 い いろいろな角度から眺める』
  風が勢いを増す 背後から突き押されるように 闇の塊が海へと
 流れてゆく
 『わかったようなことを話すのね 姿なんか見えないもの ひょっ
 とすれば誤解してるだけで 知らない誰かと話しているのかしら』
 『それはこちらも同じだよ 君が君だって保証はない もう 海の
 藻くずになってしまったのかもな』
 『両方かもね どちらにしても 朝になれば判明するわ』

  それからどちらも話さなかった 不定期に潮騒 風は凪いで 漁
 火は消えた 周囲は闇で 彼方も闇だった
  べたつく髪を気にしながら 濡れた体で海岸に座る 周囲が明る
 くなるまでは こうして座っているだろう








             》 しびる 《
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(のりこ)>あの当時は聞かなかったですけど ぼなんざぐらむって
      なんですか? なんかカタカナ言葉ですよね
(しびる)>あー えーっとな クロスワードパズルとビンゴカード
      を併せたようなもんだ ホントはそのまんまクロスワー
      ドにしたかったんだけど それだとタイトルが直説的す
      ぎると思ったんで ままぼかしたわけだけど
(のりこ)>ふうん 言葉遊びってことですか
(しびる)>ぶっちゃけるとそういうことだわな このあとに続く『
      ぼなんざぐらむ2』はまた違う解釈なんだけど
(のりこ)>はあ その解説はそっちで
posted by 篠原しびる at 22:46| シンガポール ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 連作系 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

連作07 窮連作28 フェーブルカンパニー15

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 種別 連作系第07期 窮連作28
 題名 『 フェーブルカンパニー15 』
 初出 ニフティサーブ/FJAMEA/18番会議室
    1995年08月15日02時22分
 注釈 行頭スペース+30W
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(のりこ)>FC15です このFC15と16はけっこう好きなエ
      ピソードなんですよね 惑星脱出から艦隊との合流 こ
      の辺りの描写はあれですね スターシップトルーパーズ
      でしたっけ あれを彷彿させますよ 地上と宇宙をおそ
      らくものすごいパワーで移動する感じ 地上から艦隊を
      攻撃する巨大生物や爆散する巨大艦の感じ どれをとっ
      てもあの感覚そのまんまですよね えーっと パクリ?
(しびる)>失礼な たしかにハインラインの原作には負けてるけど
      バーホーベンのバカ映画よりはウチの初出が早いって
(のりこ)>そうでしたっけ? しかしバカ映画はひどいですね
(しびる)>褒めてるつもりだけど? あんなすばらしい映画はない
      ぞ みんなもっと評価してもいいな って他人様の作品
      はどうでもいいんだ 読み返すと展開早いな
(のりこ)>ですね ヘッダも長いですけど ちょっと落ち着いてき
      た感もありますか こっちが慣れちゃったのかな
(しびる)>ふむ 描いてる方も慣れてきた頃だしな
posted by 篠原しびる at 22:34| シンガポール ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 連作系 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

連作07 窮連作26 フェーブルカンパニー14

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 種別 連作系第07期 窮連作26
 題名 『 フェーブルカンパニー14 』
 初出 ニフティサーブ/FJAMEA/18番会議室
    1995年08月12日01時30分
 注釈 行頭スペース+30W
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(のりこ)>FC14です 今度はまた敵機に追い掛けられたりして
      このWAQとかってのは連邦軍の戦闘機なんですよね
(しびる)>えーっとな 大戦前中は いわゆる100年戦争ではサ
      ドム軍の標準艦載機だったのな 今回はほら ビュルガ
      ーの旧サドム勢力との合同演習って体裁じゃん?
(のりこ)>まあその辺はどうでもいいんですけど これは演習をし
      ている艦隊に敵として認識されたってことを表してるわ
      けですね ひかるちゃん達が
(しびる)>そういうことになるかな 総合的に判断すると
(のりこ)>疑いようもないでしょ? 違う要素もあるんですか?
(しびる)>てか 本体とリンクの外れた現場の孤立感を描きたかっ
      たのな そういう状況でこそひかるに学ぶものがある
(のりこ)>ふうん
posted by 篠原しびる at 22:33| シンガポール ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 連作系 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

連作07 窮連作25 はまだらか

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 種別 連作系第07期 窮連作25
 題名 『 はまだらか 』
 初出 ニフティサーブ/FJAMEA/18番会議室
    1995年08月10日01時12分
 注釈 行頭スペース+30W
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SUBJ:【窮連作】25 はまだらか

 Sibi Temperate V.4.1 (space+30words)

 窮すれば通ず それ程でもないけれど 窮連作 #25(短編)




           『 はまだらか 』


                        作:しびる





  かなり以前に大恋愛をしたことがあって その記憶が影響してい
 るわけじゃないけれど どうも熱くなれないのは正直なところ
  それからも結婚しようって考えた男はふたりいた でもそれも知
 らないうちに曖昧になって 気が付くと毎日ただ過ごしていた 食
 事をして たまに仕事をして眠る 友達と遊んだり旅行だってする
  性行為がなくても暮らせる それほどの衝動も襲ってこない

 『アシスタントって女の子ばかりなのかい 編集は男だろ』
  目の前の男が喋る 昔からの友人で飲み友達 仕事はなにをして
 いるのか知らないが 平日からブラブラしている
 『駄目ね 枯れちゃってるもの 仕事として いやアレは恐怖観念
 ね 考えられる対象じゃないわ』
 『へへん そんなのが案外好き者なんだぜ ならファンだな 偏執
 的なマニアならたくさんいるだろ』
 『それこそ願い下げだわ そんな気分じゃないのよ アンタには理
 解できないでしょうけど』
  午後4時のファミリーレストラン 昼食の時間を過ぎて夕食の喧
 噪までには幾分かの時間がある 隅の席に壁を背にして座る 客よ
 りも店員の数が多い
 『ゲージュツカなんだからさ 私生活が乱れているのもハクが付く
 ってもんだろ それともレズなのか』
 『馬鹿 頭おかしいんじゃないの 心配してもらわなくても結構よ
 これで平和に暮らしているんだから なんか無気力なのよ』
 『新しいの読んだぞ 考えられないくらいに脂ぎってるよな 実の
 ところは潜んでいるんだぜ シンソウシンリってやつだ』
  あたしの仕事は漫画家 気紛れに作品を描く 連載なんか描けな
 いから レディースコミックに月イチくらい ホラー仕立てのポル
 ノ漫画を描く それ以外は仕事をしない
 『描くのは別 アンタだってそうでしょ 相手を喜ばせるためには
 冷静でなきゃ 先にイッちゃうようじゃ話にならないもの』
 『俺は早いから理解できないな 甘えさせてもらえるタイプがいい
 よなあ 子供は不可 手間掛かるのは無理だ』
 『そればっかりね』
  視線を移してタバコを手に取る 目の前の男は昔関係のあった男
 なんとなく別れてからも遊び友達 白黒はっきりする必要もない
  関係のない男は気持ち悪い 女はうざったい ダラダラするなら
 昔の男に限る 勝手知ったるなんとかだ
 『俺さ 今度パパなんだぜ 結婚しないけど』
 『なにそれ そんな彼女っていたのね アンタって正体が掴めない
 もの 別に構わないんじゃないの』
 『知らねえよ 勝手に決めつけられてさ 俺ってホモだもん』
  なにも感慨は沸いてこない 誰かが誰かと性行為をする 食事や
 睡眠と変わらない日常的な事象
 『なにか相談したいわけ いい病院なら知ってるわよ それとも生
 命の尊厳について語り合うの』
 『どうでもいいや 産みたければ産めばいいし 誰の子供かわかっ
 たもんじゃない』
 『それなりに拘ってるところがいいじゃない 覚悟を決めて結婚す
 れば 子供を抱かせてよ 名前を付けてあげようか』
  細い体に一部変色した髪 こんな男でも父親になるのか タバコ
 の煙に吐き気を覚える
 『その辺 俺も無気力な 今の女に説明するのも面倒だし』
 『精力的だと思うわよ 下らないって言うと失礼かしら』
 『図星だよな 下らない話だと思うぜ それよりも前に話してた旅
 行の話 メンバー揃ったぜ』
  適当に暮らしていても枠組みができる 仕事の付合いとか友人の
 集まりとか なにが楽しくて寄り固まるのか 排除する必要もない
 が前傾姿勢も気味が悪い なにか少し違和感
 『ああ そうね あたしの方は前に話してたとおり ウチのアシの
 娘がふたりに 連れの女の子』
 『こっちも4人 SEと会計士と中学教師な 全員独身で容貌は中
 庸 香港で決めたぜ 俺以外は有給休暇カンケイ』
 『いいんじゃない 来月くらいなら稿料と単行本でお金持ちだしね
 しかしまあ かたぎの知り合いもいるのね』
 『俺はかたぎだもん』
  別に誰がなにをしていても構わない 仕事なんて生活の方便 基
 本的な部分は無関係 あたしが娼婦であったところで本質は変化し
 ない この男が外科医であろうが政治家であろうが やはりこの男
 はこの男でしかない
 『なら問題ないじゃない 覚悟を決めるのね』
 『家庭を持つほどには かたぎじゃないだろうな 精神的にムラが
 あるわけだ どんどん痩せていくように見えるぞ 病気なのか』
 『あまり食べないもの 今朝原稿が上がったところだし 描き上が
 るまでは食べないし寝ないの』
  昔は馬鹿みたいに毎日描いていたのに 最近は月産18項が限界
 あたしの気力に反比例して 寡作な分だけ単行本が売れる 自分の
 年齢も忘れてしまった いつからか常に無気力状態
 『やっぱり男を作るべきだな それは欲求不満の裏返しだぜ 男に
 食わせてもらうのも楽でいいじゃないか』
 『陳腐な説教ね しばらくは男ナシでも生きていけるもの 面倒な
 のよね レンアイとかジョウネツとかさあ』
 『時間だから行くわ またな ほいほい』

  タバコとライターを握り締めて男が立ち上がる 折り良く携帯電
 話が鳴っている 歩きながら話している男をぼんやりと眺めていた
  テーブルに両肘をついて窓の外を見つめる 妙に薄暗いなと思っ
 ていたら 少し雨が降り始めたようだ








             》 しびる 《
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(のりこ)>まあ 別に構わないですけどね
(しびる)>そう言うない(苦笑)
posted by 篠原しびる at 22:28| シンガポール ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 連作系 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

連作07 窮連作27 せのび

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 種別 連作系第07期 窮連作27
 題名 『 せのび 』
 初出 ニフティサーブ/FJAMEA/18番会議室
    1995年08月14日01時41分
 注釈 行頭スペース+30W
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SUBJ:【窮連作】27 せのび

 Sibi Temperate V.4.1 (space+30words)

 窮すれば通ず それ程でもないけれど 窮連作 #27(短編)




           『 せのび 』


                        作:しびる





  窓を開け放つ 照り返す日差しの中に涼風がそよぐ むんと胸を
 張って深呼吸 絵に描いたような休日の空 バカに気分が良いのは
 錯覚か 体調は普段と変化がない
  窓枠に両手を突いて背伸びする 背中を踏み台にして猫が飛びだ
 した なんとも暢気な時間であろう

 『朝から元気だな その姿勢は誘惑しているのか?』
 『むむむーん 小学生ぐらいってね 朝起きた途端に背伸びが襲っ
 てこなかった? 今なんか起きてから3時間だよ』
  振り返ると彼氏 同じ時間に起きたはずなのに まだパジャマ姿
 シルクのパジャマを普段着にするのは問題だ
 『むあ? 俺なんか夕方くらいに背伸びが襲うな ああ今になって
 目が覚めたんだなーって 感慨もひとしおだ 飯を食おう』
 『今からならお昼だよ どこか出掛けて外食にしよう せっかく休
 みなんだし ほら天気もいいよ』
  窓の外を眺める 裏のラーメン屋の屋上に白茶斑の猫がいる あ
 れはミミちゃん ウチで飼っている猫だ さっきのあたしと同じよ
 うに両手を伸ばして背伸びしている
 『面倒だな 暑いから素麺を茹でろよ 部屋でゴロゴロするのが休
 日の醍醐味じゃないか 俺なんか日光アレルギーな』
 『だあーあ 気分が萎えちゃうわね 前向きに暮らそうって考えは
 根本のところから皆無なんだよね いーよ ふたりしてゴロゴロす
 るのも』
 『そりゃあ違うぜ 俺はゴロゴロするから お前は見てろな 黙視
 プレイってやつだな』
  あまりにも馬鹿馬鹿しい 聞いているうちに無気力感に苛まれる
 『難しい顔しても駄目だよ ゴロゴロするんなら掃除しちゃうもん
 全然見ないで掃除だけするからね 放置プレイだよ』
 『いーじゃないか それで行こう しかしなあ なんだよ? プレ
 イってのは なんだかなあ わはははははははは』
  そう話すなりソファーにゴロリ なにが楽しいのか馬鹿笑い こ
 んな調子で休日を浪費するのか 勿体ないったらありゃしない
 『楽しそうね しかめっつらして仕事してるんだから これがスト
 レス発散なの? 未だに思う不思議な精神構造』
 『出掛けるときのは ありゃあ低血圧だな 仕事中も上機嫌だぜ』
 『わははははははーって馬鹿笑いする?』
 『死んだ目で表情だけ馬鹿笑い わははははー 楽しそうだろ?』
  なんだか理解の範疇を越えている あたしなんか主婦もどきだか
 ら 仕事するのってそんなに複雑なのか それなりに楽しんでいる
 ようにも見える
 『その顔のままでもいいからさあ 出掛けようよ 蒸し暑いときに
 は汗を掻くのがいちばんだよ 健康的に』
 『汗を掻くなら方法もあるだろうが 窓を閉め切って 部屋を薄暗
 くしてだな 健康的に楽しむんだな ふたりで』
  爽やかな午前中だってのに よくまあこんなに暑苦しい話題を提
 案するものだ 他に考えることもあるだろうに
 『やだよ 昨日あんなにしたのに まだするつもり? いやらしい
 ったら獣のごとしだな 動物だよ』
 『わははははは 馬鹿みたいに蔑まれるよな 俺が話してるのはビ
 デオ鑑賞だ タワーインフェルノでも見よう あれは汗を掻くぞ』
 『なにさ それ? ビルが燃えてるだけのビデオじゃない 確かに
 熱い しかし本当に楽しいのだろうか? それも健康的に?』
 『燃える燃える燃え上がるビル 噎返るようなヒューマニズム 命
 を掛ける男達 想像するだけで暑苦しい 学校が休みじゃないとき
 に場繋ぎで放送するよな わはははははははは』
  彼氏ってばうつ伏せになって馬鹿笑い 両手を伸ばしているとこ
 ろを見ると背伸びが襲っているのだろう これだけ笑って目が覚め
 たか シルクに浮かび上がるお尻がセクシーだ
 『タイタニック号とかさ 好きだよねパニックもの いつもいるん
 だよね ずるいことして死んじゃう人 基本は急がば回れだよ』
 『そうだな 主人公なんてさ 普段は嫌な奴だぜ すぐに仕切るの
 な 飲会の会場決めるのに青筋立てたりして バカ! 女性と怪我
 人それに子供が先だ! 飲会に怪我人や子供は来ないよなあ』
  なんかぶつぶつ言いながら楽しそうだ 本格的にゴロゴロを決め
 込むのか あたしは壁を背にして膝を抱える
 『爽やかな話題じゃないさ 居酒屋が火事になったときに重宝だよ
 騒いでるうちに火の手が囲んでね 火達磨になるお客さん こ こ
 うなれば生ビールで消火するしかない! 本当に最後の手段なのか
 な?』
 『わはははははは 当然最後の手段だな いるんだぜ妊婦とか』
 『あと新婚さんだね それと犯罪者の人 ほかによくいるのが妙に
 賢い子供 元海兵隊の老人の人も必要だね なんか凄い居酒屋』
  話してると悪乗りする ゴロゴロのダラダラもそれなりに楽しい
 彼氏は器用に体勢を変えている 振り返るなら起き上がればいいの
 に 凄くなまくら
 『監視役の店長が居眠りしてるのな それに加えてレシートが粗悪
 品で連絡が取れない 燃え上がる厨房 パーティーの宴たけなわ』
 『宇宙生物でもいいよ 警察に電話しても信用してもらえないのね
 そうだよ! 焼き鳥が襲ってくるんだ! 普通は信じないよね』
 『警官達って決まってトランプの最中でさ 足元に忍び寄る焼き鳥
 のアップ 警官が驚いて振り返ると同僚だったりして なんだよ驚
 かすなよって戸田奈津子の字幕が入る 手書き文字で』
 『既になにが危険なのかわかんないよね』
  話題に影響されたわけでもないが あたしもお腹が空いてきたよ
 うだ 休日は朝食を採らないから お昼前なら当然だろう あたし
 はすっくと立ち上がる
 『それじゃ 宇宙生物退治で手を打つよね? この時間でもやって
 る最後の手段屋さんがあるんだよ』
 『ふあ なら俺は最初に死ぬズルイ男の役な』
 『あたしはキャーキャー騒ぐ女の人の役がいい みんなイライラす
 る演技だよ あははん キャーキャーキャーってね』

  立ち上がると今朝から2回目の背伸びが襲う ソファーの上では
 彼氏が背伸び するとミミちゃんも背伸びをしてるはずだ あの子
 はいつでも背伸びしてるけれど なんだかみんな一緒な気がするの
 であった






             》 しびる 《
+++++++++++++++++++++++++++++++
(のりこ)>あー いわゆるネタ話系ですね てきとうにキャラを配
      置して どうでもいいことをだらだら話す
(しびる)>飲み会とかでネタが発生するとだな ネタ袋に徐々に溜
      まっていくじゃん それをあんまし放置するとヤバイ状
      態になるから たまに放出しなきゃいかんのな
(のりこ)>はあ いまは放出しなくてもいいですか?
(しびる)>だってブログで放出してるもん
(のりこ)>あーなるほど
posted by 篠原しびる at 22:27| シンガポール ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 連作系 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

連作07 窮連作24 フェーブルカンパニー13

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 種別 連作系第07期 窮連作24
 題名 『 フェーブルカンパニー13 』
 初出 ニフティサーブ/FJAMEA/18番会議室
    1995年08月09日04時09分
 注釈 行頭スペース+30W
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(のりこ)>FC13です この地上を走るSSVというのは 戦闘
      機からロボットに変型して脚を使って走ってるんですよ
      ね? 空を飛べばラクに移動できるでしょうに
(しびる)>えーっと 大気が薄いのな だからイメージとしては飛
      び跳ねるように大股で走ってるって感じかな
(のりこ)>SSVってどれくらいの大きさなんですか
(しびる)>初期設定では F16よりひとまわり大きいくらいかな
      完全変型して立ち上がると地上15Mくらいか
(のりこ)>けっこう大きいですね
(しびる)>まあな
posted by 篠原しびる at 22:20| シンガポール ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 連作系 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

連作07 窮連作23 夏時間

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 種別 連作系第07期 窮連作23
 題名 『 夏時間 』
 初出 ニフティサーブ/FJAMEA/18番会議室
    1995年08月07日02時14分
 注釈 行頭スペース+30W
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SUBJ:【窮連作】23 夏時間

 Sibi Temperate V.4.1 (space+30words)

 窮すれば通ず それ程でもないけれど 窮連作 #23(短編)




           『 夏時間 』


                        作:しびる





  シャワールームは2年の後だし こんなに汗を掻いて更に灼熱地
 獄 さっきまで日影だったのに 木陰が移動するのは計算外 雨で
 も降らないかな こうなれば柔軟やってる方が楽な気もする
  練習が終わるまで40分ぐらいかな あーあ 凄く暑い

 『あいかさあ 夏期講は行くんでしょ 合宿はどうするのよ』
 『暑いのに うざったいなあ まだどちらにするか決めてないもん
 海水浴って話もあるんだよ 家族で』
  膝に手を当てて両足を開く 顎を上げてコートを睨み付ける こ
 れのどこが練習なのだ 最初の説明と話が違うぞ
 『なにそれ 先輩ファイトォ あいかんちって馬鹿みたいに仲がい
 いもんね いいじゃない 家族で海水浴に行けば』
 『それもうざったいなあ 先輩ファイトォ いい歳して家族仲良く
 ってのも ホント馬鹿みたいだしね 合宿かなあ』
  隣りにいるのはクラスメイトのひとこちゃん 幼稚園からずっと
 同じ学校 中学に入っても同じテニス部 親友なのかな 少し違う
 ようにも思うけれど
 『ひいちゃんは合宿なんでしょ しかし 合宿でもこれじゃ意味が
 ないよね 先輩ファイトォ あははは ふう』
 『話じゃ勝抜き戦をやるらしいよ 海の近くだから泳げるんじゃな
 いの 意味は大あり名古屋だよね』
  コートの中では3年生が練習をしている 1年が周囲を囲んで球
 拾いなのだ 先輩ファイトとはこれいかに 同じ暑いならラケット
 を振らせろ 話が違うぞ
 『夏休み全部テニスってのも芸がないかなあ 夏期講行かなきゃマ
 マがうるさいし 考えるだけで暑くなる』
 『合宿は3日間だから 先輩ファイトォ ずらせれば全部こなせる
 じゃない 夏期講は初日でしょ 家族で海水浴 最終日に合流すれ
 ば合宿にも参加できる』
 『あたしはねえ ひいちゃんみたいに行動できないんだよ 先輩フ
 ァイトォ 精神的なキャパの問題だよね』
  合宿に合流っても そんなに気侭には参加できないだろう 昔の
 コネだか知らないけれど ママは夏期講に鼻息が荒いし パパは家
 族旅行に目の色が違う どうしたもんだか トリプルブッキング
 『楽しいらしいよ 合宿 高橋さんが話してたもの 秘密のイベン
 トとか 先輩ファイトォ』
 『ふあ いちばん楽しいのは家でゴロゴロだあよ 先輩ファイトォ
 クーラー効かせて昼寝に夜寝 至福じゃないかさあ』
 『あははは 色気のない生活ね 健康なんだから外で活動しなさい
 キノコが生えるわよ 先輩ファイトォ』
  ひいちゃんは双子だ お姉さんのみいちゃんは色白で凄く美人だ
 し ひいちゃん自身も凄く美人 行動的なのはみいちゃんと対照的
 みいちゃんは隣りのクラスで美術部なのだ
 『みいちゃんと一緒にすればよかったかなあ 暑いのは苦手だもん
 なんか知的じゃない 先輩ファイトォ あーあ 暑い』
 『あいかは芸術のセンスがないからダメダメ 自覚してると思った
 のに あはは 先輩ファイトォ 秋になれば打てるわよ 3年は引
 退だからね 我慢しなさい』
 『先輩ファイトォ なにがファイトだか ふう』
  時折の風が気持ち良い ショーツまで汗でベトベト ダイエット
 には最適だろうけど 不思議なことに体重はウナギ登り 部活の後
 のモスが原因だろうな 食事と睡眠 あとは必要ない
 『ういーっ モスシェイクが恋しいよ 先輩ファイトォ やっぱり
 合宿かな 楽しい部分だけ逃すのも馬鹿みたいだしね』
 『それが正解だと思うよ ならね 買い物に付き合ってもらうわよ
 合宿用品ね あ 終わったみたい』
  ようやく3年の練習が終わった この後は1年が整列して素振り
 練習 基本が大事なのは理解できる しかし1年間も基本じゃ飽き
 が来るのだ 体を動かせるだけましか
  ラケットを握ってコートに整列 噎返るような熱気 遠くから金
 属バットの音が聞こえる 2年の号令に合わせてラケットを振る
 『いっちにーさん いっちにーさん ひいちゃんさあ』
 『叱られるわよ いっちにーさん どうしたの 声が大きいわよ』
 『なんかさあ 凄く夏だよね いっちにーさん』
  滴り落ちる汗が気持ち良い ポニーテールにした生え際から額を
 伝って顎に流れる これで球を打てれば尚更楽しいのだけれど そ
 うじゃなくても愉快な気分 単純作業もそれなりに
 『あはは 合宿が楽しみになってきた いっちにーさん』
 『いっちにーさん 単純な精神構造ね いっちにーさん そんなも
 のでしょうけどさ あはは』
  照りつける太陽 確かに夏期講は大切だ 家族旅行も大切にした
 い しかしこの高揚感はどうだろう 暑いのに楽しくって仕方がな
 い ニヤニヤしてるのは馬鹿みたいか
  素振りは正逆各々30本の10セット 今日の練習はここまで
 『ありがとうございましたあ ふう 終わったね』
 『あいかはトンボ当番でしょ あはははは 終わってないじゃない
 待っててあげるから買い物よ その前にモスに直行かな』
 『そーゆーことね あははははは』

  夏休みの練習は3時に終了する シャワーを浴びたら自由時間だ
 夏時間は陽も長いから これくらいの予定がちょうど良い
  家に帰ったら合宿の説明をしなきゃな ママはとにかく パパは
 悲しむかもしれない あははは 娘ふたりに人生を掛けてる勢いだ
 もん 仕方がないかもね





             》 しびる 《
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(のりこ)>先輩ファイトォ あはは こゆの懐かしいですね でも
      赤ちゃんあいかちゃんがいきなし大きくなりまして
(しびる)>この当時はさ そんなにだらだら続けるつもりもなかっ
      たし てか 赤ん坊ってこたないだろ たしか幼稚園く
      らいは描いてるはずだぞ 覗き部屋幼稚園?
(のりこ)>あー そうでした しかしなんですねえ この頃はふた
      ごのひいちゃんと同じ部活で 大人になった頃はみいち
      ゃんの方がなかよしだったりして 細かい設定ですね
(しびる)>うん 設定のリンクに血道を上げてたシリーズだったり
      もするんだ おかげで苦労するわな(苦笑)
(のりこ)>時間空けちゃうとタイヘンそうですもんね
posted by 篠原しびる at 22:20| シンガポール ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 連作系 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

連作07 窮連作22 フェーブルカンパニー12

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 種別 連作系第07期 窮連作22
 題名 『 フェーブルカンパニー12 』
 初出 ニフティサーブ/FJAMEA/18番会議室
    1995年08月05日00時34分
 注釈 行頭スペース+30W
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(のりこ)>FC12です 惑星イルボダヤ編のラストスパートが始
      まりましたね この感じは真連作02『斬奸』あたりが
      ベースですか 基本設定とかいろいろ
(しびる)>元ネタはそうだな それを承知で故意にモンスターの描
      写をぼやかしたんだけど なんかよくわからないか
(のりこ)>触手がどうとか 山のように大きいとか 超高温で生き
      ててどうとか なんか強力な爆弾でもすぐ死なないとか
(しびる)>んー 一辺が500Mくらいの正方形の化け物が太さ数
      M長さ1キロ程度の触手を数百本生やしてて 世界は赤
      銅色にゆらゆら陽炎がモニターを歪ませて 耳障りな警
      報音とひかるの呼吸音だけが聞こえてる そんな感じ?
(のりこ)>うんまあ どんな感じといわれればそんな感じですかね
      でも一読ではイメージ湧かないです ぶっちゃけ
(しびる)>スピード感重視で描いてみたんだけどなあ んー
posted by 篠原しびる at 22:19| シンガポール ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 連作系 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

連作07 窮連作21 やまのは

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 種別 連作系第07期 窮連作21
 題名 『 やまのは 』
 初出 ニフティサーブ/FJAMEA/18番会議室
    1995年08月02日01時58分
 注釈 行頭スペース+30W
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SUBJ:【窮連作】21 やまのは

 Sibi Temperate V.4.1 (space+30words)

 窮すれば通ず それ程でもないけれど 窮連作 #21(短編)




           『 やまのは 』


                        作:しびる





  積乱雲に夕日を照り返し 真夏の太陽は山並に消え 複雑に絡み
 合いながら 頭上の雲は絶えず成長してゆく
  辺りに涼風が漂い 空から赤色が消滅した 青色から紫色 そし
 て闇へと溶け込む色彩 山並は輪郭だけを残し 明と暗だけが景色
 を二分していた

 『気がつくと夏よね 春の続きに雨が降って いつのまにか夏なん
 だもの 夏は突然やってくるのね』
 『梅雨の頃は妙に忙しいから 1年を半分にして変化の度合いは単
 調なはずなのに どうしてだろうね』
  縁側に座り空を眺める 7月最後の日 背後からの声に振り返ら
 ず答える 涼風に僅か蝉の鳴き声が混じる
 『なんてことのない日 こんな毎日に少しずつ変化してるのよね』
 『うん 喧噪に紛れて 考えることもなかった 雨が降れば車で出
 掛ける 暑くなればエアコンをひねる 感じるチャンスは溢れてい
 るのにね』
 『でも 記憶に残るのって こんな日なのよ』
  声の主が隣りに座る ほのかに香水の香りが漂う 多忙な毎日の
 エアポケット なにもせずに空を眺める
 『記憶かあ いちばん古い記憶ってなにだろう 小学生の頃は覚え
 てるかな そう言えばイベントなんかは覚えていないな』
 『記念日なんて概念は大人だもん 子供の記憶はもっと曖昧ね 覚
 えているように感じるのは記念写真のすり替えでしょ』
  なにか曖昧な会話 別に畏まった話をする必要もなく 天候でも
 記憶でも つまりは日常会話
 『そうかな 確かに自分を含めた記憶って変だね 既に他人の視点
 だもの いちばん古いのは2年生ぐらいかな』
 『あたしはもっと古いわよ 幼稚園の年長ぐらい 確か今頃だった
 と思う 午後6時ぐらい』
 『凄く具体的だね 僕のもそれぐらいかな 時間は覚えてないけど
 今ぐらいの季節に 今ぐらいの時間 場所は はは この庭だね』
  昔から住んでいる家 彼方に山脈を望み 縁側は南西向きに庭を
 抱える 彼女がやってきたのは5年前
 『お母さんも働いていたから 7時くらいまで幼稚園にいたのよね
 夕方ひとりで座ってね 靴紐の蝶結びを解いてたの 解かなくても
 履ける靴なのに』
 『それで 解けたのかい 幼稚園で結び直すのは無理だろう』
 『うふん 覚えているのはそれだけ なにか青くて暗い時間に靴紐
 を解いていたのよ それだけの記憶』
  庭木や庭石の輪郭が 徐々に判別できなくなる 遠くには山並と
 空 どこかから子供の声が聞こえる
 『もう少し曖昧だよ 確か庭の真ん中辺り 真上を見ていると飛行
 機が飛んでいたんだ 薄暗い空に赤い飛行機雲 それだけしか覚え
 ていない』
 『高い所には夕日が当たっているのよ 反射しない光は見えないも
 の なんだか綺麗でしょうね』
 『どうして庭に立っていたのかな なにかの拍子に浮かんでくる記
 憶 きっとどこかでなにかと繋がっているんだ』
 『意味がなくても覚えているのよ 相関図なんて無駄 偶然残って
 いるんだから それだけでいいじゃない』
  周囲は完全に闇に支配された うっすらと夕日の名残 街の明り
 がぼんやりと浮かぶ
 『でも 我慢できなくなる 浮かんでくるたびに胸が締めつけられ
 る なにも事件じゃないのに』
 『それはあたしも同じ 別に寂しかったわけでも悲しかったわけで
 もないのに 思いだすと心臓が握り潰される感じ』
 『郷愁感とは違うかな そんなのじゃなくて もっと そう 哀れ
 みに似たような感覚 それと喪失感』
 『理屈じゃないのかな』
  今も襲う感覚 確かに説明とも少し違う 彼女には話さなかった
 が 失恋の記憶に似た感覚 虚無感への哀愁
 『夕方ってのが関係してるんだろう なにかそんな説を読んだこと
 がある でもそれとも少し違う よくわからない』
 『今感じているのは 大人になってから作ったのだと思う 心臓が
 握り潰されるのは最近だもん 子供の頃は違うふうに感じてた』
  風は涼しい 地面から立ち上る夏の香り 彼女の足が揺れている
 事件の起こらない普通の光景 こんな断片も記憶に留められるのか
 『そう ただ漠然と 考えればなんてことのない記憶の断片が 今
 までの生活に散在している すべてが哀愁じゃなくて』
 『最近のだってあるわ いつだったか冷蔵庫を開けたときの瞬間と
 か 買い物の途中の景色とか どれも事件じゃなくて 前後のこと
 も覚えていないのよ』
 『どこかで必要になるのかな 新しく作ったり 消えてしまった記
 憶もある 今日のこの時間も残るのかな』
  ようやく立ち上がり腕を組む 座っているのも少し飽きて なに
 かの用事が脳裏を過る
  いちばん古い記憶も このようにして中断したのか
 『残るかもね どちらにしても それほどの必要性はなかったって
 ことよ もし後から意味を考えるなら それは無駄だってことも覚
 えていた方がいいかもしれないわね』
 『そうだね 確かに意味はなかった すべてがこんな調子なのだろ
 う 無意味だね』

  空と山並の境界線が静かに消えた すべては闇で 夜が訪れたの
 だ 毎日繰り返される現象
  ひょっとすれば記憶の隅に残留するかもしれない





             》 しびる 《
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(のりこ)>あーでも このお話はまったく記憶に残ってませんでし
      た ぶっちゃけ今回読み返すまでは
(しびる)>最も古い記憶&なにげない瞬間の残像って企画だったと
      思う でもこういう観念話は印象に残らないんだよな
(のりこ)>残らないですよねえ このふたりには悪いですけど
(しびる)>この頃からキャラに名前なんていらないんじゃないかっ
      て思うようになったと記憶してる ムリしてこの程度の
      サイズの中に個人名なんて必要なかろうと
(のりこ)>逆にムリして避けるのもヘンですけどね
(しびる)>それが自然体だわな
posted by 篠原しびる at 22:13| シンガポール ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 連作系 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

連作07 窮連作20 フェーブルカンパニー11

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 種別 連作系第07期 窮連作20
 題名 『 フェーブルカンパニー11 』
 初出 ニフティサーブ/FJAMEA/18番会議室
    1995年07月31日01時32分
 注釈 行頭スペース+30W
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(のりこ)>FC11です とか言ってましたらば 今回は惑星イル
      ボダヤの解説だけに抑えてますし なんだかなあ
(しびる)>いろいろじゃダメなのか? たまーに広く汎銀河連邦の
      概説をしたり たまーにひとつの星系に特化してみたり
      なんとなく本編の進行に触れるような触れないような
(のりこ)>なんか一貫性がないんですよね
(しびる)>言うのは簡単だけどなお前 毎日なんなり捻りだすのは
      タイヘンなんだぞ どれもほぼ一気書きだしさ
(のりこ)>それを押しての話をしてるんです
(しびる)>あーそうかい
posted by 篠原しびる at 01:04| シンガポール ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 連作系 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

連作07 窮連作19 なんだかイライラ

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 種別 連作系第07期 窮連作19
 題名 『 なんだかイライラ 』
 初出 ニフティサーブ/FJAMEA/18番会議室
    1995年07月30日01時44分
 注釈 行頭スペース+30W
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SUBJ:【窮連作】19 なんだかイライラ

 Sibi Temperate V.4.1 (space+30words)

 窮すれば通ず それ程でもないけれど 窮連作 #19(短編)




         『 なんだかイライラ 』


                        作:しびる





  朝から機嫌が悪かった 空腹と頭痛と天気と仕事 面白くないこ
 とのカルテット 馬鹿陽気に振舞った午前中 無表情に過ごした昼
 過ぎ 退社の頃には極度のイライラに眩暈がしていた
  マンションに辿り着いた頃には茜色の空 雨も上がりすこぶる快
 晴 頭痛は治まり空腹でもない 当然のこと仕事は終わっている
  それでも消え去らないイライラ 既に幽霊のように 原因なんか
 残ってはいないのだ 意味もなく不機嫌

 『あ おかえんなさい あはは 朝は御免ね お腹空いてたでしょ
 すぐに夕食にするね クリームシチューだよ』
 『いらない 食欲がないから食べない』
  会話をするのもイライラする それでも彼女に罪はない 八つ当
 たりをする性格でもないのだ
 『ふーん 不機嫌なのね 今日はそんな日なんでしょ』
 『関係ない 別に機嫌なんか悪くない 静かにしていてくれるのが
 いちばん嬉しい 怒鳴りたくない』
  話したいことならこれですべてだ 理路整然 簡潔明瞭 食事も
 煩わしければ 返事すらも億劫なのだ
 『暢気に見えて繊細なのよね 会社の人には悟られなかったでしょ
 溜めないで見せればいいのに おかしくなるわよ』
 『機微を曝すのは子供だ』
  座ってネクタイを解く ソファーにうつ伏せになり溜息 彼女の
 気配に見当をつける
 『そんなところが子供なのよね 内と外の葛藤なんて思春期の若者
 じゃない だっこしてあげるから 収まったら食事にしよう』
 『よくわからない 正直なところ』
 『構わないんじゃない それでもね ふふん』
  そのままの姿勢で彼女の膝に頭を乗せる 解読できないイライラ
 背筋が震えるような焦燥感 彼女の手が額を撫でる
 『返事しなくてもいいから あたしだけが喋ってあげるね』
  黙って頷く 付合いも長いから子供のようにあしらわれる 精神
 的な優位性には 今更逆らう必要もないだろう 黙って耳を傾ける
 『急に涙脆くなる時期ね 周期的じゃなくて なにかの切っ掛けで
 なるのでもないの いつからか そんな感じなのよね』
  彼女は静かに話す 曖昧な話題はなにに配慮してか 彼女の髪が
 頬をくすぐる
 『誰かが楽しみにしていたことが 実現されない失望感とかね 不
 幸せな境遇の子供の瞳とか 手助けしたいのじゃなくて ただ悲し
 いの 哀れみじゃなくて』
 『裏返せば傲慢だな つまり』
 『ふふん そんなふうに思えるんでしょうね でも違うの 自分に
 重ねるのじゃなくて 自分の悲しみを相手に重ねるの』
  論旨は理解できるが それは同じことだ 作業の手順が違うだけ
 で エゴイズムには変化がない
 『悲しみって話すから誤解するのかな そうね 愛情に似た感覚ね
 不幸な様が愛おしいのよ 涙が流れるくらい』
 『それが傲慢なんだよ もういい 静かにしていてくれれば』
  彼女の膝に顔を埋める BGMにするのなら 他に話題もあるだ
 ろう 陳腐なヒューマニズムにイライラが募る
 『駄目よ 黙っちゃうと煮詰めるんだから 返事するからイライラ
 するのよ あはは 少し矛盾してるかな』
 『手放しに優しいんだな 呆れないのか』
 『こんな趣味なのよん 愛おしいったらありゃしないわね 夕食の
 オカズにしたいくらい』
  彼女の胸が顔に押しつけられる なにが楽しくて微笑むのか 力
 を込められると息ができない 構わないが
 『理解に苦しむな』
 『そうでもないでしょ あなたが出掛けちゃってから ずっとひと
 りで待ってるのよ こんな顔でね あは』
  目を見開いて満面の笑み なにもせずとは大袈裟だろう しかし
 少なからず拘束しているのは事実 それは理解している
 『ふむ それでも毎日楽しいのか』
 『そうね 楽しいばかりじゃないわよ 知ってるでしょ 泣いちゃ
 ったり凄く怒ったり 甘えたり甘えさせてあげたりね』
 『昔から そうだな 凄くストレートだな 楽しそうに見えるぞ』
  少し姿勢を変えて彼女の胸に顔を埋める 軟らかい感触 馴染み
 の香り なにかが変化するのを拒んでいる
 『いいのよ あたしはね みんな違うもの そんなふうに考えれば
 楽なのにね どうしてもできないのかな』
 『ああ できない するつもりもない』
 『変に器用なのにね そんなところだけ不器用なんだから 誰にも
 迷惑を掛けない暮らしなんて 本当じゃないのよ』
  それが信条だ 怒るよりも泣くよりも叫ぶよりも 嘘でも微笑ん
 で暮らすべきなのだ 他人にも求める 自分なら尚更
 『他人には強制しない だから憤る 迷惑なら辞める』
 『あはははは 無理しないの 頭が冷めるまでだっこしててあげる
 わよ 欲しいなら構わないのよ してあげようか』
 『いいや このままでいい』
  少し曖昧になる 元から原因など存在しないのだ 病原菌のいな
 い熱病か そうでなければただの錯覚だ どちらにしても幽霊退治
 『謝ると 叱られそうだな』
 『なにを今更ってね あはは』

  楽しそうに彼女は笑う 楽しければ笑う 悲しければ泣く 腹が
 たてば怒る 寂しければ甘えるのも良かろう
  理由のない憤りは 根拠のない愛情で癒されるのだろう






             》 しびる 《
+++++++++++++++++++++++++++++++
(のりこ)>たいていは女の子がカンシャクで 男の子がなだめにま
      わる構図なのに こゆのは珍しいですね
(しびる)>うんまあ フェミニストだから かもな
(のりこ)>それをフェミニストで片すのはダメなんですよ
(しびる)>あーそう 気に障ったなら謝るけど
(のりこ)>いや そうじゃなくて なんと言えば伝わりますかね
(しびる)>冗談だよ
posted by 篠原しびる at 01:03| シンガポール ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 連作系 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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